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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第二十七話『八千年之神狐(やちとせのみこ)』
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てもパニックを起こしはじめた。
再び阿鼻叫喚(あびきょうかん)に包まれるアリーナ。
「なんでまだあんなのがいるのよっ!?」
「終わりよ、今度こそ終わりよっ!」
「出して、早くここから出してぇ!!」
女子たちの悲痛な叫びは、瞬く間にアリーナを席巻し、地獄がよみがえっていく。

「やれ、やかましいのぅ……」
そんな様相を白夜は、近所の騒音を煩わしく思う程度に聞き流す。
しかし、修夜たちは目の前の状況におののき、その顔に焦燥の色をにじませていた。
「おいおい、またあんなバケモノを……しかも今度は二つも同時にか……!?」
一夏の中で、焦りとためらいが徐々に“恐怖”へと変貌しはじめる。
「さっきはみんなで辛勝だったが、あれを二体同時に相手取る体力なんて、もう……」
箒も、実際に戦ったものとして、目の前の相手の危うさは身に染みて理解していた。
「わたくしたちはまだしも、一夏さんの体力は……」
セシリアのほうは、連戦で疲労がたまっている一夏が気にかかるらしい。
さきほどの勝利は、五人揃ってはじめて得たものだが、そこに至るまでに一夏の体力はかなり消耗されている。とどめを刺した戦闘には参加せず、多少休めたとはいえ、所詮は付け焼刃でしかない。
他の四人も、一夏ほどではないとはいえ、疲労の色は拭えない。
「そもそも、さっきのが偵察で、今来たのが本隊って可能性も無くはないぞ……」
その一言に、五人のあいだでさらに不安が広がりはじめる。
先ほどの強さで敵情視察なら、本体であるあの二つはどれほどの強さなのか。それを疲労で精彩の欠いた現状で、対応できるかなどは、なおさら無謀としか言えない。
「やれやれ……」
“弱気”という魔物に足を掴まれ、ずるずると引き下がる一同を見かねてか、白夜はため息一つのあと、おもむろに皆に出る。
「ナニを弱気になっておるのやら……」
そう言いながら、組んでいた腕を解き、手首を回して、首を左右に傾ける。
「状況が好転せぬ以上、あの鉄の人形を相手にせねばならないのは、自明の理じゃろうて……」
「人形……って、じゃあ、あれも……!?」
「“気”も魂魄の“波長”も、一切感じられぬ。においも、金属と油の臭いしかないしのぅ」
スピリチュアルの次は“野性の感覚”。まったくもって、掴みどころのない(じん)である。
まだ一同がぼんやりとするなか、白夜はさらに一歩二歩と、前に歩み出る。
「修夜、一体はワシが“遊んでおいて”やろう。
 その代わり、あと一体は【十分】で片付けろ。当然、そこの(うつけ)も参加させてな。
 出来なければ一週間、昼夜を問わず修行づけじゃからな……?」
とんでもない無茶を修夜にふると、白夜はそのまま風のように駆け、新たな無人機へと向かっていった。
「ちょ……ちょっと、お待ちになってく
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