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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第二十七話『八千年之神狐(やちとせのみこ)』
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弟子だったという、単純な話じゃろ?」
「そうじゃなくて、アンタ、“まだ”【あの話】引っ張っているのかよっ!?」
あの話。
それは、修夜がまだ白夜に拾われ、しばらくの頃のことだった。
晩酌中でほろ酔い気分で白夜が、修夜に「ワシの婿になれ」と言い寄り、それの意味をよく理解せず眠気まなこだった修夜は、何の気なしに二つ返事でこれを了承したのだ。
以来、修夜に対する白夜のスキンシップは“セクハラ”へとレベルアップし、しばらくのちに来た多感な中学生時代に、修夜は度の過ぎた白夜の“お色気攻撃”に悩まされ、悶々とする日々を送ることになった。
その反動……もとい苦行の成果か、修夜の扇情への耐性は、修験者のように堅固なのである。
「当たり前じゃ、言質(ことじち)はしっかり取らせてもらっておるからのぅ」
「そうじゃなくって、大いなる誤解を生むから、往来でその話はやめてくれっ!!」
珍しくタジタジになりながら、修夜は必死に白夜に食い下がる。
「あの……、えぇ〜っと……」
その様子にセシリアは、大いに戸惑い動揺する。
「落ち着け、セシリア……。あれは師匠の悪ふざけだから、毎度の冗談だから……!」
「失礼な、好いた男に“惚れた”と言うて、何が悪い」
「だから、今はひっかきまわさんでくれって……!!」
困り果てながらも、修夜は白夜の仕掛ける爆弾に、四苦八苦しながら対処していく。
「あ…の……、しゅ…修夜さんの……」
「ただの“育ての親”で“師匠”だから、ホントに、恋人でも、婚約者でもないから……!」
「そ…そう……ですか……」
白夜に付け入る隙を与えまいと、修夜は矢継(やつぎ)(ばや)に応える。
くたびれながらも語気を強めて話す修夜を見て、セシリアはとりあえず彼の言葉を信じ、納得しておくことにした。
「ずいぶん言いつくろうのぅ……。恋人か?」
やまない笑顔での爆弾攻撃。
「ち……違いますっ、わたくしと修夜さんは、そ…そんな“破廉恥”な関係ではっ……!?」
顔を焼けた石炭のように真っ赤にし、セシリアは今までになくうろたえていた。
「師匠っ、アンタ初対面の人間にナニ聞いてんだっ?!」
「違うのか?」
「人の話、聞けよっ!?」
「はっはっはっ、すまんすまん、ちと()(ごと)が過ぎたかのぅ〜!」
からからと大笑いする白夜に対し、修夜は気疲れし、あとの三人は呆気にとられるばかりだった。
「……おや、そこで隠れておるのは……」
(ぎくっ……!)
敢えて目につかないよう、四人の影に隠れていた鈴だったが、努力の甲斐もなく白夜に見つかってしまった。
「……なんじゃ、鈴か……」
特に何の感慨も無く、ノラ猫でも見かけたかのように、あっさりと鈴から目を離す白夜。
だが、この態度が逆に鈴の気に障った。
「ちょっと待ちなさ
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