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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第二十七話『八千年之神狐(やちとせのみこ)』
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はなく、その場にいる全員を巻き込めるほど大きかった。

駄目だ、間に合わない――

全員が、無念と絶望の淵に落とされようとしていた。


(きょう)――!」


瞬く間の出来事だった。
修夜たちが光に呑まれんとしたとのとき、一つの人影が颯爽と現れ、こともあろうに【大出力で放たれたビームを腕の一振りでアリーナの吹き抜けの天井へと弾いてしまった】のだ。
弾かれたビームは遮断シールドに激突し、アリーナ全体を震わせる。
その振動ののち、やられたと思い、身をこわばらせる一同が、自分たちの無事に気が付き、固くつぶった目をゆっくりと開けた。

すると、自分たちの前に誰かが立っていた。
身の丈、おおよそ百六十センチメートル後半。髪は腰まで届く白銀の長髪、それを後頭部でお団子(シニオン)にして布をかぶせ、さらにそこから三本の尻尾上に分けて結っており、それぞれの先端にはさらに髪紐が巻かれている。肌は雪のように白く、絹のようにきめ細かい。服装は黒の腹掛け、群青色の腰巻に菜の花色の帯と赤い帯紐、脚には太腿まで届く白い脚絆、腕は和服の袖だけを切り取ったような奇抜な白い腕抜き。首には首輪と、勾玉のネックレス。腰には、当人の身の丈に届きそうな大太刀が()かせてあり、また帯から小さな黒い瓢箪が下がっている。
顔は小振りで美麗、かつどこか妖艶。金色の瞳を宿す悪戯っぽくつり上がった目、筋の通った形の良い小振りな鼻、口はやや小さいが薄く紅をさした唇は何ともいえない(つや)を放つ。
体はその扇情的な衣装に見あい、かたちの良い豊満な胸に、細く引き締まった腰回り、極上の曲線美を体現する桃尻から脚に向けてのライン。世間の健全な男が見れば、生唾を飲むほどの色香である。
そんな、この場から、あからさまに浮いた身なりの“絶世の美女”が、そこに腕を組んで佇んでいた。

「やれやれ、久しぶりに可愛いバカ弟子の顔を拝みに来たというのに……」
色っぽい唇から、童女とも娘とも老人とも、鈴が転がるようにもかすれているようにも、大らかそうにも挑発的にも、楽しんでいるようにも呆れているようにも、だがたしかに喜んでいるように聞こえる、そんな複雑で妙なる声が発せられた。

この場にいる誰しもが、その姿に驚いた。
特に【セシリアを除いた全員】が、この美女のことを“嫌というほど”よく知っていた。

「……し……」
修夜が、かつてないほど間抜けな顔で“し”の音を口にする。


「ししし……ししょおおぉぉぉぉおおっっ!?」


「元気か、バカ弟子〜」
修夜に“ししょう”と呼ばれたその美女は、マヌケ面の修夜をはっきりと“弟子”と呼び返し、ひらひらと手を軽く振った。
「び……白夜(びゃくや)先生……!?」
「マジかよ、何で先生が俺たちの学校……って
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