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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第二十五話『雲間に蛍、危機に嵐』
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をとっても一級品のそいつが、なんでそんなまどろっこしい戦い方をするんだ?」
言われて、皆がその矛盾点に気が付いた。
「確かに、それほど突出した機体性能と技量があるなら、一夏さんと凰さんを同時に相手にしても、二人に勝つことはできるはず……!」
最も戦い慣れているセシリアが、最初に修夜の疑念に賛同した。
「……言われてみれば、さっきも私やセシリアを無視して、真っ直ぐに一夏の方に向かっていた。妨害されているのなら、まず邪魔をしている私たちを封じてからのほうが、効率はいいはずなのに……!?」
先ほどまで熾烈な駆け引きを演じた箒も、その違和感を見抜いた。
「俺ばっかり狙って、他のみんなが眼中になくて……。
 なんか、ボールを追っかけている犬っていうか、セシリアのビットみたいというか……」
「い……犬……、ですか……」
どう繋いだらそうなるのか、一夏の少々突飛な例えに、例えられた物体の操縦者は苦い顔をした。
「けど、“ビットみたい”だというのは、あながち間違っちゃいないと思うぜ……」
訝しげだった修夜の目が、この状況で隠された“何か”を捉えようとしていた。
「そもそも、あの所属不明機の目的はなんだ?
 何で一夏ばかり狙う?
 遮断シールドをブチ破れるほどの力があって、何故その力で俺たちをねじ伏せない?
 今までの戦いで、なんで自分の実力に合わない、非効率的な戦い方にこだわる……!?
 それに……、こんなに悠長にしゃべらせておいて、何で不意打ち一つかけてこない……!」
振り返ってみれば、所属不明機の行動は矛盾だらけなのだ。
テロ目的にしては、犯行声明や観客への警告の一つぐらい、あってもいいはずである。
一夏を狙ってきたにしては、取り巻く人間への対処が雑すぎるうえ、手際が悪い。
単純な破壊が目的だとしても、わざわざ遮断シールドに遠慮する必要性が見当たらない。
「それに気になったのが、ヤツの異常なまでの頑丈さだ……」
「……あ」
言われて箒は、修夜の指摘に合点がいった。
「いくら絶対防御で保護されていても、体に来る衝撃は相当なもんだ。
 まして全力での斬撃と、二十メートル以上は吹っ飛ばした蹴りにミサイルの追撃……。
 手練(てだれ)の操縦者でも、それだけ食らえばフラフラで、立つのもやっとだと思うぜ?」
「確かに……。それに、アレだけのダメージを受けておいて、復帰から攻撃に転じるまでの早さも、普通の人間なら無理なぐらいの早さだ……!」
そのことは、先ほど所属不明機からの鉄拳を受けた箒自身が、身をもって知ったことだった。
ここに来て、所属不明機に根本的な“疑惑”が生じはじめる。

「さっき、アイツを“ビットみたい”だと言った一夏の意見に賛成したのは、これだ。
 誘導ミサイルのように、周囲を無視して一夏を狙う不可解な
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