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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第二十四話『“信じる”という言葉』
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――ひゅう……、がしゃあぁぁあんっ

必殺の一撃をまともに受け、所属不明機の巨体はフェンスへと飛ばされると、そのまま跳ね返って地面へとうつ伏せに倒れ込んだ。
周囲に土煙が上がる。
「やった……のか……?」
小さく息を切らしながら、箒は倒れ込んだ所属不明機をじっと見据える。
『箒さぁん、油断なさらないでくださぁいっ!』
再び上空からセシリアがマイクで声をかける。
ISの機能によって、シールドバリアーを震わせて、スピーカー代わりにしているのだ。
「分かっているっ、これくらいですむ相手では――」
セシリアの声を聞いた箒は、返答するために後ろを振り返り、顔を上げて声を出す。
その一瞬だった。
『箒さん、後ろっ……?!』
セシリアの声にはじかれて、ふと前に向き直ったそのとき、箒の目の前には、巨大な鉄の(かいな)を振り上げ、それを今にも彼女へと高速で迫る漆黒の影だった。
「なっ……――」

――ぶおんっ
――ずがぁっ

「ぐあぁっ!?」
避ける間もなく、箒にその暴力は襲いかかり、彼女を二十メートル近くも吹っ飛ばして、うつ伏せに倒れ込ませた。
「箒さんっ?!」
あまりの衝撃に全身に鈍い痛みが走り、箒は上手く体を起こすことができない。
そのあいだにも、所属不明機は再び加速してダウンした箒に迫る。
セシリアも必死にビットを飛ばすが、もう間に合う距離ではない。
(駄目だ、やられるっ……!)
無慈悲な鉄腕が、再び箒の体に振り下ろされようとしていた。

――ズダダダダダダッ
――カキュン、キュン、キュン、カキュンッ

その間一髪のとき、実弾の連射が所属不明機のシールドバリアーを鋭く叩く。
「うおぉりゃああぁぁぁあっ!!」
さらに銃撃に怯んだ隙を狙い、六枚の翼をもつ白鵠(びゃっこく)が、白亜の刃を振るって突撃し、一閃。続けざまに胴回し蹴りを放って、所属不明機を箒から突き離す。
「オマケだ、とっときやがれぇ!!」
実弾を放った蒼い風の獅子は、続けざまに肩にミサイルポッドを現出(セットアップ)し、四、五発ばかり発射して追い撃ちをかける。蹴りの威力によって態勢の立て直しが難しいところに、容赦なくミサイルがヒットし、痛快な炸裂音を奏でると、所属不明機の姿は黒煙に隠されていった。
「大丈夫か、箒ぃっ!」
「まったく、お前もセシリアも無茶しやがるぜ……」
白鵠と蒼い獅子が、少女の前に降り立ち、心配そうに見つめていた。
「一夏、修夜……!?」
彼女の前に立ったのは、いつも自分を救ってくれる幼馴染の存在だった。

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