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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第二十四話『“信じる”という言葉』
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IS学園・東地区――

学園の海の玄関口として、高い防波堤に囲まれ、その入り口を堅牢で物々しい閘門(こうもん)に守られた港に、二つの影が並んでいた。
一つは和服を改造したような奇抜な服装の美女、もう一つはクマのぬいぐるみを抱えたワンピース姿の小柄な少女。
二人は近くに見える第二アリーナから上がる煙を見つめていた。
この位置からでも、わずかだが爆発音がしている。
目を凝らせば、アリーナの上部からは、ときおりISの機影らしきものが見え隠れしている。
「やれやれ、あの大馬鹿娘の気配を辿ってみれば……。
 ずいぶんとまた、賑やかなことになっておるようじゃのう」
年寄りくさい口調で独語しつつ、和装の美女が呆れたように嘆息した。
すると、小柄な少女は美女の袖の袂を引っぱり、自分に注意を向けさせた。
「……先生、大丈夫なの?」
先生と呼ばれた美女は、眉一つ動かさずに問うてくる少女に対し、穏やかに微笑みかける。
「さぁて、それは少し、向こうの様子を“覗き見て”からじゃな」
そういうと、美女は少女の手を母親のように引き、煙の上るアリーナの方へと向かっていく。
「さて、馬鹿弟子は元気にやっておるかの〜ぅ」
物見遊山(ものみゆさん)の気分で揚々と歩く美女。
「……“お兄ちゃん”……どんな人だろう……?」
無表情のまま、少女は美女に手を引かれ、片手でぬいぐるみを抱えながら、とてとてと歩いて行くのだった。

――――

IS学園・第二アリーナ、バトルフィールド内――

あれからもう、十五分以上飛び続け、避け続けている。
鈴も何度も攻撃を繰り返すけど、謎の真っ黒野郎は鈴が攻撃を始めた瞬間に旋回して、あっさりと避けてしまう。
俺の後ろにもぴったりとくっついて、細いビームの連射を浴びせてくる。
まるで戦闘機のドッグファットってやつだ。
「一夏っ、アンタも逃げてばっかいないで、いい加減攻撃しなさいよ……!!」
通信妨害(ジャミング)のせいでコア・ネットワークでの通信が使えないため、今はハイパーセンサーを応用した音声通信で、鈴とのコミュニケーションを図っている。
「そうは言うけどよ……わぁっと?!
 むやみやたらに戦ったら、遮断シールドにビームが当たっちまうだろ!」
ビームを撃ち込まれそうになりながら、俺は鈴に必死に弁明する。
「そんなやわなシールドなワケないでしょ、ナニ気にしてんのよっ!?」
「そうじゃなくて、客席のみんなが怖がってるだろ……!!」
どうも鈴には、客席のみんなの様子が目に入っていないらしい……。
いや、この場合は、自分の試合を邪魔されたことの怒りが、周りの異常事態を気にすることよりも、全然勝っちゃっているんだろうな……。
外れたビームが、遮断シールドに当たるたびに客席から悲鳴を上がるこの状況でも、
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