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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第二十三話『救出への灯(ともしび)、その光と影』
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ドエネルギーと精神力を消費した状態だった。一夏に至っては、無策で前に出た鈴を助けるためにシールドエネルギーを浪費している。
そして現在、一夏は囮となって必死に飛び続け、鈴は衝撃砲「龍砲」の連射モードと、青龍刀「双天牙月」のツインブレード投擲で攻めてはいるものの、まるで予測がついているかのように、ことごとく避けていく。
有効打は入らず、時間と体力と精神力だけが、無為に消えていく。
この光景により“恐怖の火”は、【絶望という死神】へと進化しはじめていた。
観客の中には、既に死神の鎌に首を差し出し、斬首の瞬間を待つものさえ出始めている。

そんな中、本音だけはいつもの“のほほんオーラ”のまま、恐怖に動けくなった友人に寄り添う。
焦るでもなく、喚くでもなく、諦めるでもなく、ただ穏やかに友人や周囲の女子たちを宥め、落ち着かせようと気遣い、声をかけ続ける。
まるでそこに、確かな【確信】が見えているかのように……。
「ねぇ……本音は…、恐く……ないの……?」
俯いたまま、友人は震える声で本音に尋ねた。
「ううん、恐いよ、私も……。でもね、信じてるの……」
怯える友人の問いに、本音は優しく返答する。
「信じてるって……、あの織斑って人のこと……?」
俯いていた少女は顔を上げ、本音の顔を覗いてみた。
そこには、“確かな何か”を信じて気丈に微笑む、彼女の見たことのない“布仏本音”がいた。
「たしかにね、おりむーはまだまだ諦めてないし、りんりんも強いみたいだから心強いよ?」
本音が一夏と鈴のことを信じているのは確かだった。
だがそれ以上に、“もっと強い確信”が彼女を気丈に振る舞わせていた。
「でもね、多分おりむーも私も、きっと“一緒のこと”を信じていると思うの……!」
「……いっ…しょ……?」
不思議なものを見るかのように、少女は自分の友人の笑顔を見る。

――ヴゥン
――ガタン

その瞬間、それまで何の反応もなかった第二アリーナが、BピットのハッチとDピットのハッチを同時に展開させ、カタパルトを延長させていく。
アリーナ中に響く、引く唸るような機械音。
その様子と音に、会場中の人間が動きを止め、声を上げることをやめ、一斉に注目しはじめる。
「それはね、――ちゃん……」


――りいぃんっ、いちかあああぁぁぁあっっ!!


友を呼ぶ雄叫びとともに、二つのカタパルトから三機の機影が飛び出してきた。
一つは、鋼鉄の甲冑に身を包んだ、凛々しく勇ましい女武者。
一つは、海のような深い蒼をまとい、空を切り裂く金髪の妖精。
そして――

「困ったみんなを助けようって戦ってくれる、正義の味方(スーパーヒーロー)だよ〜〜っ!!」

白亜のタテガミと金色の爪、光り輝く剣を携えた“荒ぶる獅子”。

「ヒー…ロー
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