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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第二十三話『救出への灯(ともしび)、その光と影』
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を鈍らせてしまう効果があるのだ。
僅かな兵力であっても、一撃離脱で奇襲を仕掛けることで、決戦前に相手の戦力と士気を削ぐことができる。上手く相手の動揺を誘えれば、場合によっては大軍であっても総崩れを起こし、敗走させることができる。
今回の場合は、敵の動揺を誘って一夏と鈴に休む暇を与えてやること、この意味が大きい。
特に一夏は、色々と気負って戦っていそうだから、肉体の疲労よりも、緊張感で精神面の方が参っているだろう。
そして拓海からもう一つ、俺のエアリオル=ゼファーの改良領域(カスタマイズ・スロット)に、小型の補給装置【RESD(リーズ)】が支給された。
RESD<Rapid Energy Supply Device(ラピッド・エナジーサプライ・デバイス)>は、ISの後付装備(イコライザ)の一種で、早い話が予備エネルギーの補給タンクである。拓海の話では、大出力のIS用武装などを運用するために作られた第一世代型の装備で、現在では味方へのシールドエネルギー補給用の装備として運用され、名前もこんな感じらしい。もっとも、その補給方法も卓上ガスコンロにガスボンベを付ける要領であり、近年開発が進むコア同士の共鳴作用(シンクロ)を利用したエネルギー転送に比べれば補給量こそ多いが、装備の分だけ拡張領域《バス・スロット》を占拠する上に、補給中は動けなくなるため隙だらけになる。
一夏も鈴も、かれこれ四十分以上ぶっ続けで戦い続けている。シールドエネルギーの残量も、かなり減っているはずだ。
拓海の予想では、一夏が零落白夜(れいらくびゃくや)を使ってかつかつになっていても、これで試合で設定されたシールドエネルギーの半分近くを回復できる計算だ。
《一夏とあの鈴って子、大丈夫かな……》
気がつくと、シルフィーが俺の肩の辺りを飛んでいた。
「大丈夫さ。一夏はこの一週間でずいぶん逞しくなったし、鈴はアレで代表候補生だ。
 下手なことでやられたりはしないさ」
それでも、楽観視するには状況は厳しい。的確に作戦を成功させなければ、それこそ千冬さんと山田先生に多大な迷惑がかかる。
予測したタイミングでバトルフィールドに乱入し、セシリアと箒で所属不明機(アンノウン)を惹きつけ、その隙に一夏と鈴にシールドエネルギーを補給させつつ精神的な余裕を復活させ、最後に全員で所属不明機を戦闘不能に追い込む。正直、やることは多い。
だが、俺たちがやらなければ、この会場に集まっているであろう400人近い生徒たちを助けることも、アリーナを“何者か”からの占領から解放することもできない。
大見得は切った、腹は括った、作戦も固まった……。
あとは振ったサイコロの目がどう出るか、それを見るだけだ。
「セシリア、蒼い雫(ブルー・ティアーズ)の調子はどうだ?」
このままだんまりもアレ
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