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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第二十一話『クラス対抗戦、開始!』
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《プリセット》の原型・『雪片』“のみ”。
一見すれば無謀とも思えるこの装備だが、千冬さんの超人的な身体能力と戦闘センス、そして篠乃之流剣術を究めきった類い稀な才能にとって、それ以上の武装は必要なかった。
敵の砲撃を華麗に交わしていき、一瞬の隙を見て烈風のように突撃し、一撃のもとに葬り去る。その誰をも魅了する戦い方は、まさに“輝く戦い(ブリュンヒルデ)”の称号に相応しい、秀麗かつ豪快なものだった。
「なるほど。では、そのお心は?」
拓海が再び牽制球を投げ、様子を探る。
「アイツは私の弟だ。一番近くで、私の戦い方を見てきた。
 あんな馬鹿でも、才能なら私に引けは取らん。私はこの戦い方を、アイツの年齢でモノにしたからな、アイツならやれるさ」
言い放った千冬さんは、それまでの怒った顔ではない、自信に満ちた笑みを浮かべた。
決して千冬さんは、一夏に不必要につらく当たってはいない。
むしろ身近な人間から見れば、“姉バカ”レベルで一夏を溺愛いると言っていい。
一夏を信じるがゆえに、自分に不必要に甘えないように、一夏に一人前の人間になって欲しいがために……。彼女はときに、傍から見てやり過ぎなぐらいに一夏を叱咤するのだ。
でもな、千冬さん。それじゃ“駄目”なんだよ、一夏には……。
「そうですか……」
その答えを聞いて、拓海は静かに息を吐いた。
この態度、拓海のヤツ……珍しく【怒って】やがるな……。
「千冬さん、【アンタ】一夏のこと、何だと思ってんだよ……!!」
……出ました、拓海の【真・説教モード】。
何だかんだ言って、拓海も千冬さんに対して“思うところ”があったらしい。
「私の生徒で、弟だ。それがどうした?」
千冬さんも、拓海に真っ向から張り合いにいく。モニタールームに張り詰める緊張は、最高潮に達していた。
「確かに、一夏の武術の才能は抜きんでている。物覚えも良い、いずれは千冬さんにも追い付くでしょう……。
 だけど、そのために“アンタそのものにする”必要なんて、どこにも無いじゃないですか!」
一瞬、千冬さんの眉がピクリと動いた。
「言っている意味がわからんな」
千冬さんは、なおも頑として強硬な姿勢を崩さない。
「そのままですよ、言葉どおりに……。
 この一ヶ月のあいだ、僕と修夜は何度も一夏の口から“千冬さんに追い付きたい”と、熱く語るのを聞かされてきました。
 そのたびに一夏を見て思ったんです、『まるでヒーローにあこがれる子供』みたいだって。
 そして千冬さん、アンタが一夏に“剣だけに集中しろ”と言い続けていることも、一夏自身から聞かされています」
この一ヶ月、特に一夏がISでの本格的な訓練を始めて以来、どうやら千冬さんも時間外で一夏にアドバイスを送っていたらしく、そのことを一夏から聞かされることが度々あった。

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