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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第二十話『夜風の非常階段にて』
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鈴の顔が、再びしかめ面に戻る。
「あたしだって、いつまでも子供じゃないのよ。自分でやれることをやっただけ……!」
鈴は修夜の追跡を突っぱねるように、憮然として言い放つ。
「やれることが“足の引っ張り合い”かよ、褒められたものじゃないな」
修夜も負けじと食らいつく。
「アンタに褒められたって、ちっとも嬉しくないわよ、この優等生モドキ!!」
鈴はいつもの調子で、ケンカ腰に構えはじめる。
「優等生モドキで結構、俺はお前が何でそんなに“ヤサグレている”か知りたいだけだ」
だが修夜はそれに乗ることなく、追及の手をゆるめようとしない。
「ヤサグレてなんかないわよ、目がおかしいじゃないの?!」
「おかしいもんか、他人に恨まれるようなこと、今までのお前なら絶対しなかった!」
とにかく逃げる鈴と、どこまでも追いかける修夜。
「アンタが、あたしの何を知ってるっていうのよ、馬鹿修夜!!」
「知りたくなくても、色々知ってるから言うんだよ、大馬鹿鈴!!」
勢いがついてきたせいか、鈴は階段から腰を上げて立ち上がり、修夜に詰め寄る。
「知らないくせに……、あたしが向こうでどんな気持ちで過ごしていたか、知っているワケないクセにっ!!」
「分かるかよ、お前が話してくれなきゃ、こっちだって分かりようもないだろっ!?」
修夜も鈴の頑なな態度に、徐々に業を煮やしはじめる。
「誰がアンタなんかに話すか、バーカ、馬鹿、ばぁかっ!!」
「てめぇ……、人が心配しているってのに、いい加減にしろよっ?!」
どこまでも逃げる鈴の態度に、とうとう修夜も怒りはじめる。
「アンタに心配されたって、ちっとも嬉しくなんかないわよっ!!」
そういうと、鈴は肩に掛けていたタオルを丸めて修夜の顔に思い切りぶつけた。
いきなりの攻撃に、珍しく修夜がこれをまともに受けてしまった。
その隙に、鈴はさっさと非常階段の入り口まで階段を上り、退散しようとする。
「おい待てよ、鈴っ!!」
顔からタオルをはがした修夜の呼び掛けに、鈴は少しだけ足を止め、振り返る。
「絶対に、あのスイカ女から一夏を離してやるんだから……。
 それが済んだら、今度はアンタの番なんだからね、修夜!!」
睨みながら、鈴は修夜に対して宣戦布告する。
「あたしに一夏の前で恥かかせた責任、嫌っていうほど思い知らせてやるんだからっ!!」
「おい待てって、鈴!!」
勢いよく啖呵を切ると、鈴は修夜の制止を振り切りながら寮内に戻り、叩きつけるようにして扉を閉めていった。
「あの馬鹿が……!!」

非常階段に夜風が吹く。
残ったのは、戦いの約束と、煮え切らない気持ちだけ……。

――――

<余談>

翌朝。
「…………一夏?」
一夏のヤツは、昨日鈴からビンタをもらった方とは“逆”の頬が腫れていた
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