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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第二十話『夜風の非常階段にて』
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放課後の訓練から時は過ぎて、午後8時。
俺は、山田先生に聞いた事について考えつつ、自室を目指していた。
(……やっぱ、問題行動起こしてやがったか、あの馬鹿は…)
内心でため息をつきつつ、先ほどの事を思い返す。

朝の鈴との一件が気になった俺は、山田先生に2組の状況について調べて欲しいと伝えていた。
最初は渋っていた山田先生だったが、俺が昨日の出来事を話すと、渋々とだが承諾はしてくれた。
まぁ、一介の生徒である俺が、他クラスの件に首を突っ込むのもどうかとは思うが、あんな状況を見ておきながら、見ぬ振りをする事は俺には出来ない。
特に、あの馬鹿が転入早々にクラス代表になってる時点で、おかしな事この上ない。必ず、何かしらがあるとは踏んでいたんだが……。
「……まさか、力ずくでクラス代表を奪うとはな…」
山田先生からの話を聞いて、漸く昨日の出来事に合点がいった。
要点だけを掻い摘んで話すなら、あの馬鹿は一夏と同じ立場になりたいが為に、既に決まっていた2組のクラス代表に勝負を仕掛け、完膚なきまでに叩きのめしたのだ。
それも、訓練機を使う相手に対して、あいつは自分の専用機を使って……だ。正直な所、無茶苦茶だと思う。
俺らの場合は、セシリアとの対決前から専用機が来る事は分かっていたので、それに合わせる形で対戦する事になったのだから、問題となるのは技量差だけになる。
しかし、この場合はそうじゃない。機体のスペックが違い過ぎる上に、技量差だって歴然だ。
俺や一夏と違って、入学から一月も経っておらず、大した訓練もしていない一般生徒が、代表候補生である鈴に対して互角に勝負できる事自体に無理がある。
使う機体が互いに訓練機であるなら、結果は同じでも相手も納得はするだろう。しかし、専用機を使った上に叩きのめすのは、最早虐めの領域だ。
それだけではなく、あいつは事前に国に連絡を入れて、クラス代表の委任について要請までしていた。用意周到といえば聞こえは良いが、やりすぎである。
「……ったく、引っ越す前はあんなんじゃなかった筈なのに、いったい何がどうしてこんな事になるんだよ…」
俺の知る鈴は、犬猿の仲で一夏バカで、短気で直情傾向の自己中心的な性格で、挙句に暴走機関車ではあるが、少なくとも他者を踏み台にしてまで目的を達成しようとするような馬鹿じゃなかった。
むしろ、鈴自身に苛められていた経験がある為、そういう事をする奴を嫌ってさえいた。
そんなあいつが、どうしてあんな暴挙に出たのか、古い付き合いである俺でも想像はつかない。
考えられるとすれば、あいつが中国に引っ越した後の一年で何かあったと考えるのが妥当だが……。
「流石に、そこまで行くとプライバシーの領域だから、学園側も教えてくれないだろうしなぁ……」
こうなってくると、拓海の手を借りて調べ上げ
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