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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第十九話『遠い日の約束』
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更のような質問を投げかけた。
「えぇ、もちろんですわ。一夏さんにはご迷惑をお掛けいたしますが、どうかご容赦のほどを……」
「そんなぁ……」
自分で分かっていながら、セシリアは一夏を千尋《ぜんじん》の谷に突き落とす。
いかにも申し訳なさそうな態度はしてはいるものの、どこか芝居くさい上にかなりノリノリだ。
わざわざハンカチを取り出して口元に当て、眉間にしわを寄せながら眉を下げて俯き、一夏に向かって背を向ける徹底ぶりだ……。
一夏はそんな三文芝居を見せられ、塩をかけられた青菜のように萎びていく。
正直過ぎるにしろ単純にしろ、一夏はもっと物事に疑問を持つべきだと思う……。
「そもそも鈴も鈴だよ、何で急に俺と箒の部屋に来たんだ……?」
「何でって……、一夏は修夜と一緒にいると思ったから、修夜を叩きだしてこっちに移ってくるつもりだったの……!」
どうやら凰は、『一夏は男同士の修夜と一緒のはず』と考えていたらしい。オマケに“叩き出す”と、強気な発言まで飛び出した。
よほど修夜のことが気に入らないようだが、あの修夜を力尽くで叩き出すとなると、並の実力では無理だ。多分、ここにいる全員が束になっても勝ち目は薄いだろう……。
さっきも、セシリアが修夜に負けたことから彼女を侮った辺り、修夜の力をよく知らないか、それとも“ISなら勝てる”という絶対的な自信があるからか。もし彼女のもくろみが後者ならば、近隣への迷惑は、私が木刀で部屋のドアを突き破ったときの比では済まない。
「それにしては、荷物が少ないな……」
気になっていたことを、少し尋ねてみた。
「荷物なんて、お金とパスポートとタブレットと、着替え2・3組とコスメと勉強道具ぐらいじゃない」
あっけらかんと言い放つ凰に、思わず納得しかけてしまった。
たしかにボストンバッグの方はパンパンだが、それだけですべて終わらせているのは、女子としてどうだろうか……?
私でも段ボール1箱は必要だったぞ。
「ま……待てよ、修夜と戦うつもりだったのか?!」
凰の行動は一夏でも分かるほど、“無茶”を通り越して『無謀』だ。アイツはクマを木刀一本で倒せるという、おおよそ常人の領域を飛び越えた強さを秘めている。白夜先生など、クマなら2秒もあれば首の骨を小枝のようにへし折るだろう。
「アイツがどれだけ強いか知らないけど、私がISで全力の半分も出せば充分よ、じゅーぶん!」
「お前、修夜とセシリアの試合、見せてもらったことないのか……?」
一夏のこの疑問に対して、凰はというと――
「誰があんなヤツの試合なんて、興味あるっていうのよ?」
……本当にこの凰鈴音という少女は、一夏以外に何の興味もないらしい。
まるで一夏と自分以外のものは、町にある看板か道路標識ぐらいにしか見えてないように感じる。
だったら彼女にとっての
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