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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第十九話『遠い日の約束』
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だと……!?」
こんなに“憤った”のは、もう何年前だろう。
今なら、木刀を振りまわした私を叱り飛ばした修夜の気持ちが、少し分かる気がする……!
「凰、お前の行動には“礼儀”が無さ過ぎる!!
 そんなに一方的に怒鳴り散らして、一夏のことを何も考えていないだろっ!!」
「なんですって……!!」
すると凰は、一夏から今度は私の方へと歩み寄ってきた。
「アンタこそ何様よっ?!
 少し一夏と幼なじみでいたのが長いからって、一夏のこと全部分かってる気になってんじゃないわよっ!!」
そう言われ、私は思わず閉口してしまった。
確かに、私は一夏と長く同じ時間を共有してきた。
しかしこの五年間で、一夏は私の知っている一夏から、少し変わっていた。
見た目がずいぶんと大きくなった。剣術をやめた。引き換えに、バイト生活に没頭していた。織斑先生がほとんど帰らなくなって、独り暮らし同然だった。そして、凰と出会っていた。
それらの要素が重なって、気付けば一夏は“私の知る一夏”とは別人になっていた。
「どうしたのよ、反論してみなさいよ?」
不敵に笑って見せる凰の態度が、悔しくてたまらない……。
凰の一夏との時間は、期間こそ短くても、今日という日までの空白が小さい。
なにより、出会ってから過ごした時間は、彼女の方が倍近く多い。
その分だけ、“私の知らない一夏”を知っている。……それが悔しくてたまらない!!
「何も言えないんだったら……」
不意に、聞き覚えのある独特の音が耳に入った。
「おい、鈴?!」
一夏の驚く声とともに、そこにあったのは『物々しく巨大な刃』――、ISの武装と思しきものだった。
彼女は、自分のISを部分展開してみせたのだ。
「さっさと、ここから立ち去れっ!!」
凰は勢い良く踏み込み、私に向かってその狂暴な力を振りかざそうとした。
――まずい、完全に出遅れたっ?!
対抗できる武器がない以上、避けるしかないが、今の私のこの場所では、部屋の物や壁が邪魔をしていて狭すぎる……?!

――ガギンッ

そう思いながら焦った次の瞬間、私の前に、凰と同様にISを部分展開したセシリアが、凰の振るう巨大な刃を受け止めていた。
彼女の手には、青く光る細身のレーザーブレードが握られていた。
「御無礼はそこまでになさったらどうです、凰さん…!?」
「なによ、アンタまで邪魔する気……!?」
凰の鋭い視線を、真っ向から睨み返すセシリア。
まるで、虎と竜の睨み合いだ。背中越しでも、セシリアの迫力がビリビリと伝わってくる。
こんなセシリアを、私は見たことがなかった。
「先ほどから拝見させていただいていましたが、無理難題を申し上げているのは凰さん、あなたのほうですわよ?」
話し方こそ、いつもと変わらない上品さだが、その裏側には強い“憤り
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