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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第十九話『遠い日の約束』
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修夜は、タイミング良く赤を点灯させる、意地の悪い信号だろうか?
「お前……、中学で不良に絡まれたときに、修夜の暴れっぷりとかちゃんと見てたのか……。
 あんな格ゲーじみた動きする人間なんて、俺はじめてみたぜ?」
初耳の話だが、修夜がどれぐらいあり得ない動きをしているかは、容易に想像ができてしまう。
多分、壁を蹴って三メートルぐらいジャンプするとか、その勢いで着地地点にいる相手を踏み台にしたりとか、さらにその勢いで跳び蹴りを見舞ったりとか、そのぐらいの無茶苦茶なことはやっていそうな気がする。
「アイツ、お前を助けるのに壁蹴りで三メートル跳んだり、その勢いで相手踏んづけたり、跳び蹴りしたりして凄かっただろっ?!」
…………。
……なんで全部符合してしているんだ?!
アイツの身体能力は、本当にどうなっているんだっ!?
「いちいちそんなの覚えている訳ないでしょっ?!」
そして凰、なんでそんな凄まじい光景が目に焼きつかないんだ。
単に見ていなかったのか、それとも一緒に助けに来た一夏に気を取られて見ていなかったのか……。
「あんなの普通見たら、忘れられるわけないだろ?!」
まったくもって、一夏の言うとおりだ。
話題の中心が修夜にあることがよっぽど気にいらないのか、凰はまるで歯噛みしているようにも見えた。
「そ……そういう一夏は、私との【約束】を覚えてるの!?」
そんな凰が、再び“私の知らない一夏”を引っぱりだしてきた。
「や……や、くそ…く?」
「小学生のとき、あたしがアンタとあの場所でした約束よっ!」
小学生時代、つまり私が一夏たちと別れて久しい頃だ。この場合は、出会ってあまり日の経っていない頃だろう。
「え〜っと、約束約束…………あ」
数秒ほど眉をひそめて悩んだ末、一夏はその約束を思いだしたようだった。
「あれか……、『料理の腕が』どうとかっていう……」
「そ……、そうよ…、それよ……!」
一夏の答えを導き出そうとする様子を見る凰の様子に、先ほどの刺々しさが急激に無くなっていく。
昼時の一幕で見た光景に似ている。
「あー、そうだ、思いだしたっ!
 『あたしがもし料理が上手になったら、毎日でも酢豚作ってあげる』って、アレかっ!?」
「……!」
凰の反応からして、一夏の記憶が、彼女の欲した答えを見事に射抜いたらしい。
ピン呆けした回答をすることが多い一夏にして、とても珍しい出来事だ。
でもそのフレーズは、どこかで聞いた覚えがあるような……。
「覚えて……くれて……たんだ……」
対する凰は、すっかり刺々しさの陰もなく、普通の女の子に戻っていた。
それどころか、胸に手を当ててとても嬉しそうに、そして安心したような表情さえ浮かべている。
「そうだよ……、あたし……そのために……」
言葉を発していくごとに、
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