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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第十五話『クラス代表の決定と懐かしき転校生・後編』
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”だった。
対する鈴はというと、まるで意に介していないかのように冷ややかな態度で、間延びした生返事を返していた。
「それじゃあ、二人とも早く寮に戻りなさい……」
そういうと、教師は女子生徒を連れて職員寮の方へと消えていった。
消えていく間際、修夜は少女が鈴を、凄まじい形相で睨んでいくのをはっきりと確認した。
その顔は、まるで絶望の果てに自殺した怨霊のような、背筋も凍る怒りの顔だった。
修夜は思わず絶句し、自分の血の気と怒りが急速に冷えて行くのを知覚した。
鈴はというのと、さもつまらなそうなという態度を、決して崩そうとしなかった。
「……な〜にが、クラスの和よ……。蹴落として、のし上がっていくのが、普通なんじゃない。
 ここの連中って、なんだかなまっちろそうね……」
小さく囁いたその言葉には、熱も情もない。冷めた現実だけを見る、死んだ価値観だけが存在した。
「おい、鈴……」
「ナニよ、まだやる気……?」
修夜に向き直った鈴が見たのは、彼の明らかに不機嫌な表情だった。
「お前、何を“やらかした”んだ?」
「……はぁ、ナニソレ…?」
修夜の問いに帰ってきたのは、生返事の続きだった。
その態度に“怒り”ではなく”憤り”を覚え、修夜は鈴に詰め寄る。
「『ナニソレ』じゃないだろ……!
 さっきの子の表情、明らかにお前に“憎しみ”をぶつけていたぞ…!?」
「たかが一回“蹴落とされた”だけじゃない、根性なさ過ぎよ……?」
きっちりと問いただそうとするも、どこまでも熱をもたない鈴に、修夜は次第に苛立ちを募らせる。
互いに罵りあう刺々しい仲だが、修夜の知るかぎり、鈴は今までにこんな“擦り切れた”態度を取ったことなどなかった。
「……はぁ、まぁいいわ。どーせ、明日になったら分かることだし……」
「明日……だと……?」
しらを切るのも馬鹿らしくなってきたのか、鈴は話を切り上げにかかった。
「ねぇ、1年の学生寮ってどっち……?」
「おい待てよ、鈴……!」
不遜な態度の意味を追求しようとする修夜だが、鈴は一向に意に介していない。
「……で、どっちよ……?」
「……っ、俺の見ている方から正面に進んで、二つ目の角だ……」
ここで追及しても、のらりくらりと躱されるだけと修夜は感じ、素直に鈴の欲しがってるものを教えた。
「ありがと……。じゃ…!」
そういうと、ボストンバッグを肩に掛け直し、鈴はその場を立ち去った。
何も変わっていないような幼なじみに起きた、奇怪な異変――。
それに憤りを感じつつも、ふと時計を確認して見ると……。
「げ ぇ ? !」
現在の時刻、18時17分。
「くっそ、こうなりゃ迂回ルートで全速力だっ!!」
鈴との靄の掛かったやり取りは、頭の片隅に一時追いやり、修夜は暴動が起きるのを防ぐべく、寮の厨房
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