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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第十五話『クラス代表の決定と懐かしき転校生・後編』
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スとなってのしかかった。
一夏のそばにいた“見ず知らず”の箒に対し、異常な敵愾心を働かせたのもこれゆえである。
日本にいた頃、彼女のあだ名が“りんりん”だったが、それを周囲にパンダのようだとからかわれた。
これだけならまだしも、彼女への冷やかしは中学生に上がるともっぱらその体つきに集中し、『お子ちゃま』『まな板』『ぬりかべ』『幼稚園児』『妖怪改札騙し』、酷いものだと『鶏ガラ』『手羽先』『ちんちくりん』『ロリコンホイホイ』など、彼女へのネーミングは罵詈雑言の見本市の様相を呈していった。
なにより、成長していく周りの女子の【胸】に対して、視線がそぞろになる一夏に一番腹が立った。
「アンタぁっ……、絶っっっ対にっ、ワザと言ってるでしょっ!?」
「あぁワザとだともっ、何か文句あっか、このクソチビ!!」
「ナニよっ、二言目には『空飛ぶ』『空飛ぶ』ってうっさいのよ、飛行オタク!!」
蒼穹(そら)を飛びたいって言って何か悪いか、この洗濯板ぁっ!!」
「誰が洗濯板よ、胸の話ばっかするんじゃないわよっ、ドスケベ変態!!」
「誰がドスケベ変態だ、この恋愛バカがっ!!」
「誰が恋愛バカよっ、シュークリーム!!」
「テメェこそ、パンダだろうがっ!?」
「それじゃアンタは鶏よ!!」
「鶏はそれこそテメェだろっ、少しは色っぽくなりやがれっ!!」
「ナニよっ、セクハラで訴えてやるわよっ!?」
ガキの罵りあいである……。
「上等だっ、何ならここで決着付けるかっ?!」
「望むところよっ!!」
互いの意見が一致したところで、両者とも反射的にISに手を伸ばそうとした。
そのとき――
「コラっ、貴方たちっ!!」
ふと、アリーナ側から聞き慣れない女性の声が聞こえてきた。
二人ともがその声の方へ顔を向けると、そこには先ほど修夜が見かけた女性教師の姿があった。
黒のタイトスカートのスーツに身を包んだ、赤い(ふち)の眼鏡をかけた彼女の背後には、未だ何かしらのショックに打ちひしがれて、教師のスーツの上着の端を握って掴む女子生徒がいた。暗闇でも、悲しみで表情がぼろぼろになっているのがよく分かった。
「もうとっくに、寮の門限は過ぎてますよ。今何時だと思っているんですかっ!?」
修夜が腕時計を確認すると、時計の針は18時10分を過ぎようとしていた。
「げぇ……、マジかよ……」
仕込みの遅延が決定的となり、修夜は小さくうなだれた。
「それと凰さん」
教師に声をかけられ、鈴は顔を彼女に向ける。
「今回は、あなたの国からの要請もあったので、“特例”として許可しました。
 ですが、今後はこういう無茶苦茶なことは、クラスの和にヒビを入れることになりますから、『絶対に』控えてくださいね……!!」
言葉は丁寧だが語気は強く、それは鈴への明らかな“厳重注意
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