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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第十五話『クラス代表の決定と懐かしき転校生・後編』
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……まったく、今日の一夏はどうしたっていうのやら。
アリーナの開放時間の終了が近づく17時30分、修夜はそのアリーナの近くに戻ってきていた。
原因は“一夏の忘れもの”、しかもよりによって財布をロッカーに落としたという、手の込みようである。
またしても箒が、「ズボンのポケットに貴重品を入れっぱなしにするな」と、説教を飛ばしていた。
(普段の一夏らしからぬ、変な凡ミスが続く日だな……)
そう振り返りながらも、箒の一夏に対する説教の長さを予想し、結局いつものお人好しから一夏の財布を取りに戻る次第だった。
「……ったく、仕上げに間に合わなかったら一夏の分だけお預けにしてやる…」
財布自体は、一夏が利用していたロッカーのど真ん中に置き去りにされていた。一夏にケータイで連絡を付け、財布の中身と金額を電話口で確認すると、修夜は足早に寮の食堂へと戻る。
その道中――。
(ん、何だあれ……?)
帰り道にふと、アリーナの受付のベンチで教師に寄り添われる女生徒を見かけた。
泣きながら自分によりかかってくる生徒を、教師は優しく肩を抱いて慰めていた。
人にもいろいろあるよな――、と少し感慨耽りそうになり、慌てて思考を食堂へ戻ることに切り替える。

そもそも、修夜がこれだけ慌ただしい原因はセシリアの件から数日後のことだった。
突如『鍋が食いたい!!!』と叫んだ一夏と、その先日に鍋を振る舞ったことをあっさりとばらした本音により、修夜は“懇親会”と称した鍋パーティーを全面的に世話する羽目になった。
なお、この鍋の件の詳細については、また別の話ということにしておこう。
鍋を仲間に振る舞い、それを喜んでもらえたこと自体は良かった。問題はこのことを一夏と本音が周囲に吹聴し、各所へと伝播していったことであった。結果、1年1組はおろか学年中に修夜の料理の話は伝わり、女子たちのあいだで大きな話題を作ってしまう。
そして本来は、サンドイッチやフライドチキンなどのスナックメニューで盛り上がるはずの就任パーティを、修夜に献立と厨房を任せるという異例の“バイキングディナー”に変更することが決定した。
このことを決めた寮職員の会合で、ひときわ殺気立ちながら修夜にバイキングを作らせようとする教師が、いたとかいなかったとか。
「まぁ、時期が分かってたから仕込みと調理は早めに出来たけどな……はぁ……」
気苦労からか、思わず独り言とため息を漏らしながらも、料理が出来なかった場合の自分の身が、どう考えても危い方にしか転がらないことを考え、ひとまずは帰り道を急ぐことに専念する。
「まぁ、楽しみにしてくれているのは、料理を作る身としては嬉しい限りなんだが……」
そんな事をぼやきつつ、走っていると……。
『あ〜、もう! 一年の寮って何処にあるのよぉ!?』
「……ん?」
なにや
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