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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第十四話『クラス代表の決定と懐かしき転校生・前編』
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の骨を叩きのめしに行きたかった。
行くたいのは山々だが、ここで下手をやらかして本国に突っ返されるのは“本末転倒”である。
歯がみしつつもぐっと怒りを抑え、少女は平静を装って職員に向き直った。
「はい、本日付で転校してきました。中華人民共和国・代表候補生の……」
「あぁ、あなたが……。ごめんなさいね、誰もお迎えにいけない状態で、わざわざ一人で来てもらって……」
申し訳なさそうに、少女に謝罪する女性職員。
(わざとらしいわよ、そんな言い訳。馬鹿じゃないの……!)
少女の機嫌は現在、少女史上かつてないほどに悪かった。
「別に大丈夫でしたよ。道中は暇せずに、いろいろと見物できましたから……」
それでもそれが態度に出ないよう、なんとか平静を保つよう心掛ける。
「そう、ならよかったんだけど……」
(はぁ? 良いワケないじゃない。どの面下げて言ってのよ、この女……)
丁寧かつ親和的に応対する職員を尻目に、少女の内心はどんどん荒んでいった。
「それより、総合受付の窓口を探しているのですけど、ご案内していただけませんか?」
さっさと用事を済ませて、明日のための準備に取り掛かろう――。内心で毒づいていたことで、怒りへの意識も薄らぎ、少女は目標を本来の方向へと切り替える。
(いいわ、明日がある。明日になったら、全部――)
「えぇ、もちろん構わないわ。さぁ、付いてきて下さい」
職員は総合受付のある場所へと、少女を先導していく。
不意に少女が振り返ったとき、そこに片割れの姿も、馬の骨の胸も消えていた。

――――

「はい、これにて手続き終了です。こちらが注文されていた制服と、通学カバンになります。教科書については……」
少女はいくつかの書類の記入欄への記述と署名を終え、事務職員から諸説明を聞いていた。
同じ作業の繰り返しで途中から辟易しはじめ、やっと終わった今はヤマもオチもない説明に疲れかけていた。
事務職員の話を片耳で記憶しつつ、もう一方の意識は“自分の片割れ”である【織斑一夏】へと向けられていた。
(一夏、元気そうだったな……。それに……『カッコよく』…なってた…かな……)
少女は、西日の中で目にした一夏の姿を思い起こし、胸をときめかせていた。
――自分のことは、ちゃんと覚えてくれているだろうか。
――“あの頃”のように、また賑やかな日常を始めることが出来るだろうか。
――あの人は自分と交わした【約束】を、ちゃんと覚えてくれているだろうか。
不安と期待の入り混じる複雑な心が、思わず自分の欲求を動かした。
「あの……」
「――にはそれから……って、何か質問かい?」
少し緊張しながらも、自分の欲する答えを求め、少女は言葉を紡ぎだす。
「今年は……って、たしか……“はじめての男子生徒”が、入学してきたんですよね……
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