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ドリトル先生学校に行く
第三幕 トミーの到着その十二

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「日本とイギリスもね」
「そうね、そういうのを見てね」
「僕達が変わってないっていうんだね」
「そうよ」
 サラはこう先生に返しました。
「イギリス人のままね」
「まあ僕もね」
「日本は好きだけれどだね」
「着物は着ないのね」
「そちらはね。今のところはね」
 興味はないというのです。
「中々面白そうだけれどね」
「わかったわ、そのことはね」
「サラはどうかな」
「着物ね」
「着てみようとは思わないのかな。今着ている服も結構古風だけれど」
 今のイギリスではサラが今着ている不思議の国のアリスの頃の様な服はそうそうありません、これはサラの趣味なのです。
「着物はどうかな」
「別にね」
 サラは首を右に捻って先生に答えました。
「それはね」
「いいんだね」
「うん、特にね」
 こう言うのでした。
「いいわ」
「そうなんだね、わかったよ」
「着物って高いのよね」
「服によるけれどね」
 それでもだというのです。
「着物は高いよ」
「生地はシルクよね」
「しかもかなり質のいいシルクでね」
 そうしてだというのです。
「職人さんが仕立てているから」
「人の手もかかると」
「そう、かなり高くなるよ」
「そんな服を買うとね」
 サラのお家ではというのです。
「大変だから」
「会社はまだ厳しいのかい?」
「かなり楽になったわ、けれどね」 
 業績はかなりよくなりました、けれどそれでもだというのです。
「お金は節約しないと」
「世知辛いね」
「世の中はそんなものよ。とにかく着物はね」
「買わないんだね」
「そう、買わないわ」
 決してだというのです。
「そうした服はね」
「僕も止めておくよ」
 先生はあらためて着物は買わないことにしました、けれどその先生にサラは明るい声でこう言いました。
「男の服は女ものよりずっと安いわよ」
「それは着物もなんだね」
「どの服でもよ」
 男ものの方がずっと安いというのです。
「だから兄さんは買えるんじゃないかしら」
「今の僕ではだね」
「そう、教授になって定期的な収入も出来たから」
 それでだというのです。
「大丈夫だと思うわ」
「まあ僕も服はね」
 先生は服にこれといってこだわりがありません、むしろ無頓着で若い女の子からはださいと言われる位です。
「あまり気にしないから」
「むしろ気にしたら?」
「ファッションのことをだね」
「そう、兄さんただでさえ野暮ったいのに」
 先生の今の服装も見ての言葉です。
「余計にそうなっているわ」
「服装をよくしてどうなるのかな」
「女の子にもてるわ」
「そういうことは別に」 
 先生はそうしたことにはあまり興味がありません、だから今も独身なのでしょうか。
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