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渦巻く滄海 紅き空 【上】
二十一 権謀術数
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くし、空の帝王に君臨する―――――ついにその野望が叶うのだ!!」

陶酔しているかのような風情で神農は吼えた。
彼の雄叫びを耳にし、虫唾が走るとばかりに「偽善者かよ…」と呟く香燐。彼女の悪態に、むしろ神農は思い入れたっぷりの演説を切り返した。

「偽善者?結構!所詮、人はうわべばかりの生き物だ。牙も爪も無く、泣く事しか出来ぬ存在……。だが他の生物より少しでも有利な地位を求め、人は群れた。繁栄を、この世を手に入れた――――それはなぜか?」
徐々に語気を強めながら彼はナルトと香燐の顔を交互に見遣る。そして一段と声を張り上げた。

「それは、人間が全ての生き物の中で一番…―――残酷だからだ!!」
きっぱりと言い切って、神農は笑った。凄絶とも言える笑みだった。




背中を石柱に預けたまま瞑目していたナルトが、ようやく瞳を開ける。そしてにわかに口を開き、話を戻した。
「それで?この砦を使って栄華に返り咲こうとでも?」
「そういう事だ。遺跡に見せ掛けているこの要塞は、数十年の長きに渡り、空の国の忍者達が研究し、作り上げた――究極の破壊兵器なのだよ。この兵器で空忍は、忍び五大国に対抗し、そして勝つ!!」
勝つという一言を、殊更語気を強めて断言する神農。
呵々と大笑いする彼の態度に、ナルトは吐息をひとつ落とした。
「夢は立ったまま見るものじゃないよ」

ナルトの皮肉が気に触ったのか、神農はついと片眉を上げる。だが直後、部下を労わるような笑顔で彼は頭を振った。ナルトの眼前に片手を差し出す。
「わしは頭の切れる奴が好きだ。共に世界の頂点を目指さないか?」
誘いを掛けてくる神農を、ナルトは無表情で見返した。


底知れぬ沈黙が再び室内を支配する。香燐はナルトと神農の顔に視線を往復させた。彼女の瞳に浮かぶのは、隠し難い当惑と緊張。
「君達は素晴らしい!村の焼け跡に落ちていたメスだけでここまで辿り着き、そして推理してみせた。大したものだ。特に君のような天才がわしは欲しい。空忍として歓迎しよう。一緒に世界を牛耳ろうじゃないか」
畳み掛けるように勧誘の言葉をつらつらと並べる。己の雄弁に満足を覚えて、神農は相手の反応を窺った。

熱心に誘い掛けてくる彼の話を聞いているのかいないのか、ナルトは終始無表情であった。
やがて肩を竦め、事も無げに一言返す。
「あいにく世界征服には興味が無くてね」


自らの申し出をたった一言で切り捨てられ、神農は眉間に深い皺を刻んだ。
口を開き、そしてまた閉じる。何度かその仕草を繰り返していたが、ナルトの屹然たる様に諦めたのだろう。
忌々しげに「ならお前達も村の奴らと同じく要塞の動力源として利用するまでだ」と吐き捨てた。

「村の住人は生きているのか?」
神農の言葉の端から村人の生
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