二十一 権謀術数
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が立ち寄った村を燃やしたのも、わしの仲間―空忍だよ」
急変した神農に驚きながら、「なんで村を燃やしたんだ?」と香燐が口を挟んだ。
「探し求めていたモノがようやく手に入って、必要無くなったからさ。長い間隠れ蓑として利用していたがね……―――――痕跡は、消すに限る」
如何にも楽しげに神農は自白する。彼の態度に嫌悪感を抱いた香燐は、さりげなくナルトの背に隠れた。
暫し思案に沈んでいたナルトが改めて口を開く。
「……最初は貴方が村に滞在していたという証拠の隠滅が、放火の動機だと考えた…。勿論それもあるだろうが、それならば罠を掛けた理由が成り立たない。どうも妙だ」
「ほう?どこが妙なのかね?」
「罠というのは普通思いがけない場所に複数仕掛けるものだ。だが村に掛けられた罠は、石段上の大掛かりなモノ一つだけ…。確かに石段に仕掛けられた糸は見えにくい。しかしながら複数の人間、それも村の住人全てが引っ掛かるとは到底思えない。火事の混乱に乗じて村人を拉致するのが目的なら、麻酔や催眠剤を使えばいい。それに火を既に放っているのに、わざわざ罠を張るのも腑に落ちない。…――これらを照合するに、あれはただの罠では無かったんじゃないか、と思ってね」
なにげなく石柱側へ足を運びながら、ナルトは己の推測を語る。彼の推論を神農は興味深そうに聞き入った。
「罠ではなく演出だった。それも過剰な、な」
「……過剰な演出?演技だということか?」
ナルトの後を追いながら、香燐が訊ねる。彼女の問いに頷き、ナルトは言葉を続けた。
「あれほどの量のクナイを一斉射撃とは、やけに派手な罠だ。クナイだって、代金は馬鹿にならないからな。確実に仕留めたいのなら、毒でも塗ればいい話。クナイ一本で事足りる。それに、クナイの雨が集中する地点に、あのメスが落ちていた…」
「く…くくくくく、」
喉を震わせた耳障りな笑い声がナルトの話を遮る。圧し殺された失笑は、やがて哄笑へと変わった。高笑いが大広間に轟く。
石柱を背にするナルトと、彼に寄り添うようにして佇む香燐。二人の顔が正面にくるように、神農は笑いながら数歩歩く。
壺に嵌まったらしく一頻り笑った彼は、にやりと口角を吊り上げた。
「経費ケチっちゃ、華々しく飾れないだろ?善良な名医としての神農の最期を…」
微かな笑みを浮かべつつ、神農はふてぶてしく自供した。ナルトに向かい合う形で、広間の入り口を背にする。
「つまり、医師だった神農はもういない…という事か?」
あまり気の無い口調でナルトは訊ねた。双方は当初とは真逆の立ち位置で対峙している。ナルトの問いに、神農は再び嘲笑を返した。
「ククク…むしろ今までのわしの方がおかしかったのだよ」
重々しく間を置いた後、大袈裟に彼は両腕を大きく拡げてみせた。
「忍び五大国を破壊尽
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