二十 王の都の砦
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室に問い合わせようとしたその瞬間―――――。
「こんにちは」
背後から声を掛けられ、男は弾かれたように激しく振り向いた。男の瞳に、見知らぬ子どもの姿が映る。人の良さそうな笑顔で佇む金髪の少年と、顔を強張らせ緊張している赤髪の少女。
(なんだ、このガキどもは……。見張りの奴らは何をやっている)
内心男は警備の忍び達に悪態を吐く。そして人好きのする笑みを浮かべ、紳士的に尋ねた。
「何か用かな?」
心中の不機嫌は全く表情に出さず、長年世間に認識させた善人の顔で問う。途端、男の頬を何かが掠った。
後方でカッ、と音が響く。頬を伝う血を拭いながら振り返ると、見覚えのある銀が刺さっていた。
「落し物を届けに」
「それはそれは……ご丁寧にどうも」
空気が凍える。
穏やかな物腰で礼を述べる男――神農。彼に負けず劣らず優しげに微笑む少年――ナルト。
笑面夜叉の二者が対峙した事で、一気に下がる室温。
石柱の壁に突き刺さっているメスが冷たい光を放っていた。
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