二十 王の都の砦
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女はおもむろに印を結んだ。
警備に当たっている忍び二人は、突然人の気配を感じ、身を強張らせた。視界の端で何やら動いたような気がして、咄嗟に身構える。
自分達が警護している後ろの部屋には、彼ら空忍の国を復興せんとする指導者がいるのだ。
二人は無意識のうちに武器を前方の壁に向ける。そして「誰だ?」と、鋭く叫んだ。
しかし壁陰から現れた者を目にした途端、彼らは緊張を緩める。
「警備の交替で参りました」
自分達と同じ空忍の一人が笑みを浮かべながらこちらに歩いて来た。手許の武器を下ろしたものの、二人は眉を顰める。
「なに?」
「まだ交替の時間じゃないぞ」
不思議そうに瞳を瞬かせる警備の忍びを、「交替だ」と申し出た忍びはにこやかに見つめた。そして「いえいえ、お二人は休憩に入ってください」と笑顔で告げる。
その言葉が終わるや否や、真上から誰かが降りて来た。目にも留まらぬ速さで背後から放たれる手刀。
気づいた時には既に遅く、部屋を警備する空忍二人の意識は落ちていった。
「ゆっくり休めよ〜」
翳む意識の片隅で、含み笑う少女の声を耳朶に残して。
一瞬の出来事だった。おそらく自分の身に何が起こったのかも理解出来ていないだろう。
もっとも実際に起きた事は至極単純。
空忍に変化した香燐が、部屋を警備する二人の注意を引きつけている間に、ナルトが天井に張り付く。そして音を立てずに、手刀一発で眠らせたのだ。遺跡に忍び込む前に打ち合わせていた事を実行したに過ぎない。
「流石、ダーリン」
「一時間ほどで起きるけどね」
変化を解いた香燐の熱っぽい視線に気づかずに、ナルトは気絶した二人を壁に寄り掛からせる。昏睡した空忍を見下ろしながら、彼は小さく呟いた。
「もっとも目覚めた時には、既に何もかもが終わってるだろうけど……」
闇のチャクラをどのようにして集めるか。
手の甲に顎を乗せて思案に暮れていた男は、ようやく違和感を覚えた。
喧騒が遠く離れた場所から聞こえてくる。部屋の外で警備しているはずの見張りに声を掛けるが、返事は一向に返ってこない。
(何かあったのか…?)
一度思索に耽ると周囲に気づかない彼は、この時初めて奇妙に思った。なにやら騒動でもあったのかやけに慌ただしい室外に、男は眉を顰める。
不意に彼は足下を見下ろした。部屋の真下――要塞の中枢にいるアレと連結している黄金の円環が妙な点滅を繰り返している。まるで何かを待ち望んでいるような……。
男はやにわに手を石柱に這わせた。なんらかの紋様を指で押すと、柱の一部が小さく開く。柱の壁に埋め込まれた蓋を開き、中から無線機を取り出した。
胸騒ぎがする。
杞憂であればいいが、と男が砦の監視
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