二十 王の都の砦
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「どっちに行った!?」
「そこだ!捕らえろッ!!」
白き袖を翻して、故意に足音を立てて走る。武器を手に追い駆けて来る忍び達の眼前に、君麻呂はわざと躍り出た。忍び込んだ者が自分一人だと見せ掛けるために。
自分達の本拠地だからか、武装した忍び達は最小限の攻撃しか仕掛けてこない。しかしながら多勢に無勢。たった一人でなるべく多くの敵を引き付けるのは、骨が折れるに違いない。
それを承知で囮役を買って出た君麻呂は、今現在、複数の忍びに追い駆けられていた。通路を突っ切り、待ち伏せしていた相手の包囲網を破る。ナルトの言葉に従い、この遺跡を警備する忍び達の目を自身に向けさせるのが彼の第一目的だ。
風を切るように走る君麻呂の耳に、人の呻き声が微かに聞こえる。ハッと顔を上げた彼は、迫る追手を振り切って声のする方へ足を向けた。
猫の額ほどの狭い通路を走り抜ける。すると、朧げな翠緑色が君麻呂を迎えた。如何にも妖しい緑の光は、建物の最奥部、それも地下から放たれている。
石の階段を素早く駆け降りた君麻呂は、その奥にいる者達を目にすると、すぐさまナルトに報告した。
君麻呂のおかげで、人気が無い通路。要塞深部へと伸びる路までもが、呆れ果ててしまうほど無防備な有様だ。
香燐の案内で路地を走っていたナルトがふと目を細める。君麻呂からの連絡が【念華微笑の術】によって、彼の脳裏に伝わったのだ。
この【念華微笑の術】は、伝えたい事柄を音にせず念じる事で相手に伝えられる。中忍第一試験内にも用いた術である。
この術を使うには術を編み出したナルトの許可が必要。ナルト自身が媒介となっているため、万が一秘密裏に術で会話しようとしてもその内容は間にいる彼に筒抜けとなる。またチャクラ消費はほんの僅かで済み、傍目には瞑想に耽っているようにしか見えない。
ただし念じている間は無防備になってしまうため、戦闘中には多用できぬのが難点。故に、周囲に敵がいない、もしくはなんらかの結界術を張っている際に使うのが効率的だ。
君麻呂の緊急報告に、ナルトは考えをめぐらした。暫し思索に耽っていた彼は、前で走っていた香燐が急に足を止めた事で我に返る。
左側の壁際に身を寄せた彼女同様、右側の壁陰にナルトは隠れた。両脇壁の向こうは行き止まりで、突き当たりにある部屋の傍に見張りが二人立っている。
「ダーリン。メスのチャクラと同じチャクラがあそこから……」
とうとうメスに宿っていたチャクラの主を見つけた香燐。彼女が指し示す場所は、今正に警備の者達がいる部屋の中であった。
ナルトは【念華微笑の術】で君麻呂に指示を与える。君麻呂の了承を脳裏で得た彼は、次に「例の手で頼む」と香燐に囁いた。ナルトの意を酌み、頷きを返す香燐。
そして彼
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