十八 万緑叢中
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逃亡者の行く手を阻んだナルト。相手の姿を認めた彼は確認の言葉を投げた。
「確か――――香燐、だったか…」
ナルトの目前にいるのは、中忍第二試験『死の森』で彼が助けた少女――香燐だった。
「憶えていたのか…っ!!」
ナルトと君麻呂―双方に挟み打ちにされ一瞬怯えるものの、ナルトに名を呼ばれた途端、香燐は破顔した。反して彼女の背中を睨みつける君麻呂。
血継限界の能力で指節骨の内、人差し指の末節骨を鋭く伸ばす。皮膚を突き破って現れた骨の先端はまるでナイフのように研ぎ澄まされている。
刃の如しその指骨を、君麻呂は香燐の首筋に迷いなく押し付けた。
「……ナルト様。この女、如何致しましょう?」
警戒の色を色濃く目に湛え、君麻呂はナルトに指示を仰ぐ。鋭利な刃物同然の指骨が、彼女の頸動脈をグッと押した。ぷつりと赤い玉が浮き上がり、首筋を沿って流れ出す。
香燐はごくりと咽頭を鳴らした。
「放してやれ」
「しかしッ!我々をつけてきたんですよ!!」
反論しつつも君麻呂は標的から武器を遠ざける。しかしながら彼の瞳は未だに爛々と輝いている。その強い眼光から、少しでも妙な真似をしたらその首掻っ切ってやる、といった君麻呂の思考が読み取れ、香燐はぶるりと身震いした。
「俺達の後をずっとついて来てたけど、何か用でも?」
君麻呂とは対照的に緊張感のないナルトが穏やかな眼差しで尋ねる。実際のところ探りを入れているのだが、彼の笑顔に惑わされ、香燐は気づかなかった。
「ずっと…ってどこから?」
「里外への門をくぐる前からだが」
「最初からじゃねえかっ!!」
驚愕する彼女を、君麻呂がじろりと睨みつける。
「……つまり、木ノ葉の里から今までずっとですか…」
陸も水中も危険に満ちているこのジャングルを、女一人で歩くとはなかなか大したものである。しかしながら女と言えど、どこの手の者か解らぬ相手をナルトの傍に近寄らせるわけにはいかない。
思わず骨を出しそうになる君麻呂を、ナルトは視線で制した。自分を挟んでそんなやり取りがあった事など知らない香燐がほんのり頬を染めてナルトにしな垂れ掛かる。
「だ、だって〜…ダーリンの事、もっと知りたかったしぃ〜」
「…………………」
突然言われた単語に、ナルトは硬直した。
「ダ、ダーリン?」
「うっせ!テメエには言ってねえだろッ!!」
「…………………」
思わず聞き直す君麻呂。ナルトへの態度とは一変して君麻呂を怒鳴りつける香燐。そして無言を貫くナルト。
密林の奥地でなかなかにカオスな空間が出来ていた。
ジャングルに生息する鮮やかな鳥が、羽を撒き散らして三人の頭上を横切っていった。
「彼女の
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