prologue
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「kryyyy!!」
薄暗い機械遺跡の中。兵器の残骸を無尽蔵に接合したような機械型クリーチャーが、二本のアームを振り下ろした。アームの先は緩く湾曲した刃になっており、一度でも命中すれば無事では済まないだろう。アキハルは地面を蹴り飛ばし、大きく右に飛んだ。クリーチャー……《廃棄兵器05型》と呼ばれるそいつの左腕の刃は、右腕に阻まれてアキハルを攻撃できない。
「kryyyy!」
廃棄兵器は苛立ったようにキリキリと金属の擦れるような鳴き声を上げる。その背部に装着されたレーザー砲が火を噴く。閃光がアキハルを狙って飛来する。しかし、その攻撃はアキハルに命中する寸前、突如出現した紫色の半透明の障壁に阻まれる。
「サンキュー、イオリ!」
『どういたしまして!……来るわよ!』
「おうっ!」
遠距離通話補助機……いわゆる《インカム》から響いた相棒の声に一つ頷き、アキハルは腰のホルスターから得物を抜き放った。
黒銀色に鈍く光る重心を持つそれは、《機動銃》と呼ばれる銃火器だ。アキハルの取得職業である《機士》は、この《機動銃》を使用するときにほかのクラスにはない補正をいくつか受けることができる。
そのうちの一つが、《自動再装填》だ。《機動銃》はセットした弾薬が空になると、連射が効かなくなる。《機巧師》と呼ばれるクラスをとっていれば、ここに弾薬を再びセットできるのだが、それには時間がかかる。それに対して、《機士》補正を使用している場合、ストレージから自動的に弾薬が再装填されるのだ。
「っぁッ!」
トリガーを引くと、軽い反動と共に銃弾が発射される。螺旋形に回転しながら、高速で打ち出された弾丸は、狙い違わず廃棄兵器に炸裂した。火花が散る。同時に、廃棄兵器を構成するパーツの一部が壊れた。ごとり、と左のアームが壊れる。《機士》の補正の一つ、《命中精度補正》及び《威力補正》だ。クラス《銃士》をとっているために、さらにこれに付け加えて《銃士》の補正もかかる。《機士》のクラスをとるためには、事前に《剣士》《機巧師》《銃士》を一定レベルまで上げておく必要があるので、《機士》は必然的に《銃士》も兼任することになる。
その中にあって、アキハルの攻撃力はほかの《機士》と比べて、少しではあるが突出していると言えた。理由は、アキハルのクラスレベルが、本人のレベルと同レベル帯の平均と比べて高い事。もう一つは、彼の装備する《機動銃》の性能の高さだ。
アキハルの父親――――《プレイヤー》と呼ばれる一級の戦士が、若いころに所有していた神器級アイテムと、アキハル自身がダンジョンから発見してきた神話級アイテム。それらの二つを、相棒であるイオリが再構築して完成した、銘を《撃覇銃》。神話級
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