第九十二話 戦線突破
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艦長は無謀にもこちらに向けて回頭してくるアークエンジェルに舐められていると苛立ちを募らせ接近させつつ砲撃を続ける。回頭している以上、アークエンジェルの砲はまともに狙いを定めることなどできないだろう。
その間に距離を詰めつつ、砲撃で落とそうとザンジバル級の艦長は考えていた。しかし、誘いに乗ったザンジバル級はこれが罠だという事に気付かされる。
『正面からローエングリンだと!?ええい、誘い込まれたか!Jミサイルの発射は!?』
『間に合いそうにありません!』
そう叫んだ瞬間、ゴットフリートがザンジバル級の翼部や砲を破壊する。流石というべきか、二年前の大戦でも生き延びたアークエンジェルは砲の狙いも正確らしい。余程腕前の良い人材がそろっているのかと艦長は思ってしまうほどだ(尤も、実際に優れた人材こそいるがアークエンジェルはその操作の多くがオートメーション化されている為、その人数は少なく、当然ゴットフリートで狙っている砲手など居ないのだが)。
『このまま艦をぶつけるつもりで突っ込め!』
『しかし艦長――――!?』
このままではローエングリンに撃たれてしまうと判断した艦長は下手に逃げ回るよりも、より接近して撃たれる前に落とそうと判断する。
『うろうろ逃げるより当たらんものだ。私が保証する!』
艦長がそのように断言した事でクルーも腹括ったのかそのまま前進させつつ砲撃を続ける。慣性でアークエンジェルが移動していると言っても前方に向けて推進を続けているザンジバル級と比べれば遅い。追い付くのは時間の問題と言えた。
「敵艦、回避行動を取りません!接近してきます!?」
真正面から突撃してきた敵に、アークエンジェルのクルーは息をのむ。だが、これまでも同じようなピンチを潜り抜けてきたアークエンジェルのクルーはそれで怯むような弱者ではなかった。
「ローエングリン発射、それと同時に回避を!」
「わかっています!!」
艦の操舵を握るノイマンがマリューの命令に同意しつつ回避行動に移る。そのまま避けようとしたのと同時にデスティニーによって破壊されていなかったもう一門のローエングリンがザンジバル級を捉えた。
『ぐぅ――――艦の被害はどうなっている!』
『エンジン推力低下、右舷の機能が殆ど停止……このままでは艦が落ちます』
幸い艦橋には被害が及ばなかったものの、このままでは確実に沈むことを避けられないだろう。Jミサイルを発射できるような状況でもなく、いつ誘爆してもおかしくない。
『脱出は間に合わんか……こうなればせめて道ずれにしてくれる……!』
ザンジバル級がそのまま特攻を仕掛けアークエンジェルに突撃していく。しかし、ノイマンの操舵によってアークエンジェルはバレルロールで回避して見せた。宇宙に上
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