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暗黒の時代
第2話
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わないけど、初めてならいいさ。俺はその辺で待っとく」

 完全にスタートダッシュに遅れてしまい、少年は完全に気が抜けてしまったのか切り株の上に腰を落として空を仰ぐ。視界に広がる青空を鳥が3羽滑空していった。

(信じられないよな、ここが仮想空間だなんて)

 鳥達のさえずり声も、草葉の擦れ合う音も、暖かな日差しも。五感全てを刺激されるこの感覚がバーチャルだなんて到底思えない―・・・そう、アレクシスは感じていた。
 自分の容姿にコンプレックスがある彼が、このダークエイジにのめり込むのは簡単だった。現実では不可能に近いあらゆる壁を取り払った世界、剣士として戦果をあげるもよし、職人として生産を極めるもよし。ここでは現実を忘れて色々なロールプレイに没頭できる。
 中でも、少年は剣の道に精通していた。現実では体格に恵まれていない彼でも、この世界ではキャラクターステータスがそれを補ってくれる。元々、反射神経は人一倍良いので、ベータテスト中のPv(プレイヤーバーサス・対人戦)では少しは名が通ったプレイヤーだ。テスト時代はギルドというコミュニティに属していたが、人間関係のしがらみにとらわれるのが嫌で、名前を変えての再出発となった。それが、本名だというのも皮肉な話だが。

「お待たせです?」

 アビーがぱたぱたと走ってアレクシスの元に寄って来た。

「そうそう、アビー・・・呼び捨てでいいかな」
「はいはい?」
「オープンチャットだと回りの迷惑になるから、パーティー組んで話さないか?」
「よく分からないけど、分かりましたよ?」

 人差し指を形のいい頬に当て、きょとんとした表情のアビー。分かってないんじゃないか・・・とつっこみたくなるのを堪えて、少年はコホンと咳払いを一つ。

「今から招待送るから、OK押してくれ」
「はいはーい」

 アレクシスは右手を広げ、インターフェイスの展開命令を念じて左から右へとスライドさせた。すると、白を基調としたユーザーインターフェイスが目の前に現われ、彼はコミュニティからパーティーの項目を弾く様にタップすると、パーティーメニューが開いた。次に、パーティーを作成するを選択すると「対象を選択してください」というシステムメッセージが視線の下方に表示される。対象を直接見る視線誘導式と周囲のプレイヤー一覧から選ぶ2種類が用意されているが、彼は前者の方をよく使っている。なぜかと言われれば、場合によっては命を預ける事になるメンバーを機械的に選びたくない為だ。

「え・・・そんなに見つめられても・・・」

 時間にして約2〜3秒、過程を説明していなかったアビーが戸惑っていると、彼女の目の前にピコンという電子音と共に「アレクシスからパーティー招待が来ています」と表示され「ああ・・・なるほど」と人差し指をピン
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