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こんな私(俺)の物語
第十三話 聖剣ですか過去話ですか
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て、匹敵する聖なる神器は現時点で存在しないわ。魔剣の方もほぼ同様かしら」

う〜ん。よくわからない。まだまだ覚えることは多そうだ。
紫さんは詳しそうだな。今度教えてもらおう。

「祐斗は聖剣ーー特にエクスカリバーと適応するため、人為的に養成を受けた者の一人なのよ」

「じゃあ、木場は聖剣を使えるんですか?」

「いいえ、祐斗は聖剣にて適応できなかった。それどころか、祐斗と同時期に養成された者達も全員適応できなかったようだけれど・・・・・・適応できなかったと知った教会関係者は、祐斗達被験者を『不良品』と決めつけ、処分に至った」

処分。
つまりは殺したってことか?

「祐斗を含む被験者の多くは殺されたそうよ。ただ、『聖剣に適応できなかった』という理由だけで・・・・・・」

「・・・・・・そ、そんな、主に仕える者がそのようなことをしていい筈がありません」

アーシアにとってはその情報はショックだったようだ。自分が信じていたものが裏切っていったら、泣きたくもなるよな。

「彼ら教会の者達は私達悪魔を邪悪な存在だと言うけれど、人間の悪意こそが、この世で一番の邪悪だと思うわ」

部長は、根は優しい女性だと思う。人間界にいるのが長いから、人間のような感情を得てしまったと部長はおっしゃっていたが、それだけではないと俺は感じる。
悪魔にだって優しい者はいる。俺の持論だ。

「私が祐斗を転生させたとき、あの子は瀕死の中でも強烈な復讐を誓っていたわ。生まれたときから聖剣に狂わされた才能だったからこそ、悪魔としての生で有意義に使ってもらいたかった。祐斗の持つ剣の才能は、聖剣にこだわるにはもったいないものね」

やっぱり部長は優しい。聖剣に人生を狂わされた木場を悪魔に転生させることで、少しでも救いたかったんだろう。
でも、木場はーー

「あの子は忘れられなかった。聖剣を、聖剣に関わった者達を、教会の者達をーー」

神父を嫌悪していたり、聖剣の情報にやけにこだわったのは、木場がいまだに引きずっているからか。確かに、自分の人生を好き勝手にされたあげく、勝手に殺されたんじゃ、怨恨を持ってもおかしくない。それが幼少の頃からとなると、恨みの大きさも相当なものだろう。

「兎に角、暫くは見守るわ。今はぶり返した聖剣への想いで頭が一杯でしょうから。普段のあの子に戻ってくれるといいのだけれど」

「あ、その事なんですが、切っ掛けがこの写真っぽいんです」

「・・・イッセー、あなたの知り合いに教会と関わりを持つ人がいるの?」

「いえ、身内にはいません。ただ、俺が幼い頃に近所に住んでいた子がクリスチャンだったみたいです」

「そう、あなたの近くにーーいえ、十年以上も前にこの町には聖剣があったなんてね。恐ろしいわ」

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