第九十一話 顕現する赤
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「それでは、現状はこれ以上オーブに対して過剰な干渉を行う気はないと、それがプラント側の示す意思表示なのですね」
「はい、こちらとしてもこうなってしまってはプラント自身や地球の戦争被災地の支援が優先されるでしょうから――――デスティニープランの導入も親プラント派の地域を中心に段階的な導入が検討されています。尤も……これはあくまで予想であって最終的に我々には判断できることではないのですが……」
プラントに居たカガリは現在プラント側の外交官と話を進めていた。彼らは一応話し合いによって解決しようとしているのだが、現在のプラントの情勢が内乱に近い非常に不安定な状態であることも含めてあまりあてに出来るような話し合いにはならないでいた。
「――――だか――、少――――って言――――――」
「……いったい何だ?」
「少し確かめてきます」
外で話し声、というか一方が主張している声が聞こえ、カガリと外交官は話を止めて何なのかとカガリ尋ねる。相手も分からないらしく確かめることにしたようだ。カガリとしても話がこれ以上煮詰まることはないだろうと判断して外交官を止めなかった。
「ああ、もういいですわ!勝手に入らせていただきます!」
「ら、ラクス様!?」
「なッ!?」
ドアを開けて確かめようとするのと同時に、向こうから扉を開け入って来る。外交官が驚いたようにそれはラクス――――いや、ラクスの偽者であるミーアだった。
「お久しぶりですわ、カガリさん?少しお話がしたいので二人きりにしてもらえないかしら?」
演技なのだろう。カガリはこの偽者のラクスとは初対面であるし、ミーアという個人も全く知らないのだが前大戦で面識がある本物のラクスだという演技を演じているのだ。
「あ、ああ……そ、そうだな!久しぶりというべきなのかもしれないな!?すまないが席を外してもらえ……いや、二人で話せる別室を用意してもらえないだろうか!?」
少々どころかかなり焦っているが、それは突然訪問された側である外交官にしても同じなのだろう。機械のように首を縦に振りながら、抜け目なくサイン下さいと彼は要求していた。
その後、部屋に案内されたカガリとミーアは目の前に紅茶と茶菓子を置かれ、そのまま二人だけで向かい合う。
「えーと、はじめましてというべきなのか、私は?」
困惑していたのは当然カガリの方である。初対面の相手に、そういう演出だとは理解しても久しぶりなどと言われ、挙句話がしたいなどといわれたのだ。
「そうね、私とあなたが会うのは初めてよ。でも、私は貴方の事を事前に少しだけ知っているわ。貴方とアスランが恋仲だったって事も含めて」
「ど、どこでそれを……」
色々と気まずい雰囲気である。オーブの上層部では公然の秘密に近
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