第九十一話 顕現する赤
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は曲がる。落としたと確信していたが、その期待はあっさりと裏切られる。
『これでも落せないのか!?』
「おい、無茶だ!その機体は尋常じゃないぞ!」
スキュラをシールドで受け流し、そのまま半回転することでビームカノンのビームを躱した。その様子を見たマーレは止めようと通信を送るが、彼らにそのような忠刻は意味をなさない。
『うっさいんだよ!アンタこそ下がれっての!そんなボロボロの機体でうろちょろと邪魔すんじゃねぇ!』
アウルがそう言ってマーレの忠告を無視し、それどころか退かないなら一緒に撃ち落とすとばかりにビームライフルを撃ち続ける。流石にマーレとしてもこれ以上忠告する義理は無い。撃ち落とされても困ると判断したマーレはそのまま撤退していく事にする。
『逃がさんよ!』
『それはこっちの台詞だ!』
マーレを追撃しようとした議長を止めるエミリオ。この大きな獲物を逃すわけにはいかないと考え、アウルと再び連携して落とそうとする。
『そう何度も、何度も、舐められてたまるかよッ!!』
『そうか、ならばいい加減、邪魔しないでもらう為に君達から落とす事としよう』
その攻防は一瞬だった――――何度も撃ちこんでいたビームを全て躱して懐に入り込んだ議長の機体がそのままビームトマホークでビームライフルを切り裂く。必死にすぐさま捨てたビームライフルの代わりに腰のビームサーベルを取ろうとG-Vの右腕を動かそうとしたのだが、議長の乗る機体の左腕で右腕の手首を掴まれた。
『ここで敵を斃さなくちゃ……スティングの仇を討てねえだろッ!!』
自らの意気込みを叫びながらアウルは必死に抗おうとする。前進するためのスラスターを総て全力で噴かすことで敵に体当たりをしようとした。しかし、そうやって無謀な突撃をするよりも、敵の攻撃を防御する手段を確保すべきだっただろう。
がら空きの左側からビームトマホークでG-Vは横一文字に切り裂かれた。
『ぁ……かあ、さん……』
その言葉を最後にアウルのG-Vは爆発し、彼の命は散っていった。
『ウオォォォォ――――沈めッ!コーディネーターァァァ!!』
エミリオが味方を落とされた怒りによる衝動とコーディネーターへの憎しみ、そして何より戦闘に対して冷静な思考を行っている部分が今ならば落とせると判断して切りかかる。両手両足から出る四本のビームサーベルが機体の中央部を捉える。
腕や足の一、二本はくれてやるという気概だ。四本の同時攻撃を逃れる術はない。仮にコックピットを一撃で貫いたとしても相打ちにはなる。まさに決死の覚悟――――良くて腕や足の一本、悪くても結果は相打ち。プラントのトップの首ともなれば自分の命など安い。そして彼が討たれれば戦いは終わる。エミリオは勝ったと確信していた。
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