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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
聖者の右腕篇
04.神意の暁
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緒河彩斗は、オイスタッハへと殺意に満ちた視線を向ける。
もはや完全に戦意喪失している雪菜は、血まみれの古城の顔を抱きかかえている。
「貴方は何者ですか?」
殲教師が戦斧を彩斗へと向ける。
「俺は、この
古城
(
バカ
)
のクラスメイトだけど」
彩斗は口角をわずかに吊り上げた不敵な笑みを浮かべる。
彩斗の予想外の応えにオイスタッハは、大きな笑い声をあげる。
「誰が来たかと思えば、ただの学生ですか。行きますよ、アスタルテ……我らが至宝を奪還するのです」
「──
命令受諾
(
アクセプト
)
」
人型の眷獣に包み込まれたアスタルテが、無感情に呟く。
「行きますよ……じゃねぇよ」
鮮血が迸る右腕を突き出し、彩斗は強く拳を固める。鮮血が膨大な魔力の塊への波長を空気中に流し出す。魔力の塊は、徐々にその姿の眷獣の姿へと変えていく。
「──降臨しろ、三番目の眷獣、“
真実を語る梟
(
アテーネ・オウル
)
”──!」
出現したのは、神々しい光を放つ翼を持つ梟──
姿を現すとともに途轍もない突風が吹き荒れる。
殲教師と巨大な腕の眷獣を持つ少女が彩斗の眷獣を目にして動きを止める。特にオイスタッハは、驚きとその魔力に動きを止める。
ただの少年だと思っていた彩斗が眷獣を従えている──つまり吸血鬼ということの驚きと出現した眷獣の強大な魔力に二度驚く。
「もう一度聞きましょう。貴方は何者ですか?」
彩斗は右手で頭を掻きながらめんどくさそうに答える。
「さっき言っただろ……俺はこの
第四真祖
(
バカ
)
のクラスメイトだ」
「答える気がないなら結構です。アスタルテ! この者を捕らえなさい」
「──
命令受諾
(
アクセプト
)
」
虹色の巨人の右腕が彩斗の身体へと襲いかかる。
「先輩──ッ!」
雪菜の叫ぶ。だが、その時にはすでに遅かった。巨人は右腕だけでなく左腕も彩斗へと向けて放っていた。
仮に右腕を後方の梟の眷獣が弾こうと左腕を防ぐことができなくなる。
だが、彩斗は微動だにせず冷静な声で呟く。
「……“
真実を語る梟
(
アテーネ・オウル
)
”頼んだぞ」
巨大な梟は、咆哮とともに彩斗と虹色の巨人の右腕との間に神々しい光を放つ左翼を差し込む。
翼一枚であの攻撃を防げるわけがない。“
神格振動波駆動術式
(
DOE
)
”の力を得たあの拳を。
オイスタッハは勝利を確信し、雪菜は敗北を確信した。
──だが、本人である彩斗は…………
巨人の右腕と梟の左翼がぶつかり合った瞬間、青白い閃光を放ち、それと同時に爆風が発生。
二つの魔力の塊がぶつかり合い発生した爆風は埃と瓦礫を舞い上がらせ、埃を含んだ砂煙を巻き起こす。
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