暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
聖者の右腕篇
04.神意の暁
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 砂煙が晴れた空間に二つの影が浮かび上がる。それは、緒河彩斗と彼の眷獣のものだった。
 それに対して虹色の巨人の眷獣は姿を消し去りそこには、藍色の髪の少女のみが立っていた。

 その場にいた者のほとんどが何が起きたか理解できなかった。

「ば、バカな……ロドダクテュロスが姿を消しただと、ありえん!?」

 オイスタッハは、驚愕のあまりに持っていた戦斧を落とす。

「アスタルテ! 再び、やつを捕まえろ!」

「──命令受諾(アクセプト)執行せよ(エクスキュート)、“薔薇の指先(ロドダクテュロス)”」

 慌てを隠そうとするオイスタッハの命令に従って、アスタルテが苦痛の表情を浮かべながら再び虹色に輝く人型の眷獣を出現させる。
 巨人はその両腕を握りしめ、再び彩斗を狙って殴りかかる。
 だが、再び彩斗の眷獣がその間に出現し、翼でその攻撃を防ぐ。

 その瞬間、再び青白い閃光がその場を包み込み、爆風が起きる。
 埃が舞い上がり、それが晴れるとまたも彩斗と眷獣はそこに立っており、アスタルテの眷獣のみが姿を消している。

「何度やっても同じだ。オッサン」

 オイスタッハは、今だに理解できない彩斗の眷獣の能力に激しく動揺。
 “神格振動波駆動術式(DOE)”は魔力による攻撃を一切無効化する。たとえ未完成の形とはいえ、それを無効化してさらにその眷獣さえも消し去る力を理解できない。

「アスタルテ! ここは撤退です!」

「──命令受諾(アクセプト)

 再び出現した眷獣は、巨大な腕で外壁を破壊する。埃と瓦礫が舞い散り、それが晴れたときには二人の姿は存在しなかった。

「まぁ、そうするだろうな」

 そう呟きながら、眷獣が姿を消し、彩斗は古城の頭を抱えうずくまる雪菜の元へとゆっくりと足を運ぶのだった。




 キーストーンゲートとは、絃神島の中央に位置する巨大複合建造物。
 十二階建ての地上部は島内で最も高い建物である。
 一方でこの巨大な建造物には、もう一つの重要な役割がある。
 それが海面下四十階層にも及ぶ、人工島(ギガフロート)集中管理施設だった。
 直径わずか二キロに満たないこの建物が絃神島を構成する四基の人工島(ギガフロート)の連結部をも兼ねている。
 それゆえに警部も厳重である。
 絃神市が保有する特区警備隊(アイランド・ガード)は、三個大隊四百四十人強。その一個大隊は、常時キーストーンゲートの警備に当たっている。その人数には一個小隊の攻魔官も含まれる。
 計算上では、夜の帝国(ドミニオン)の獣人兵団一個中退を相手にしても、数日間は持ちこたえられると言われていた。
 だが、現在海面下第十階層の気密隔壁を二人の侵入者が突破して、ゲートの中層部
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