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剣の丘に花は咲く 
第十一章 追憶の二重奏
プロローグ 恐怖の実家
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ルマニアへと入り、目を覚ましたタバサに尋ねてみると、何やら事情がある様子に見えた。
 と、まあ、そんなこんなで何とかここ、キュルケの実家にたどり着いたのが昨晩のことであった。到着するなり、ルイズはタバサの救出についてアンリエッタに梟で手紙を出した。
 その返事の手紙に、今、士郎たちは難しい顔を向けている。
 テーブルの上に置かれたまま、何時までも放ったらかしにさせる手紙に、士郎は溜め息を一つ吐くと手を伸ばす。
 テーブルを囲む、士郎以外の者が息を飲んだ。

「ち、ちょっと待ってくれないかね隊長。ま、まだ心の準―――」
「そ、そうだ。ちょっとお茶でも飲んで一息ついて―――」
「ふん」
「「ぎゃあああああ〜〜っ!!」」

 横から士郎を止めようとギーシュとマリコルヌが声をかけるが、士郎は華麗に無視し一息に便箋を開ける。
 中には一枚の手紙が入っていた。手紙には、短く一行だけ記載されていた。それに目を通した士郎は、広げた手紙を閉じると、首を傾げた。
 
「え、っと、シロウ。手紙には何んて書かれていたの?」
「ん? いや、よくわからないんだが、『ラ・ヴァリエールで待つ アンリエッタ』と書かれていた」

 士郎がキュルケの問いに応えた途端、ガタンっ! と椅子が勢いよく倒れる音が部屋に響いた。
 全員の視線が一斉に音が聞こえた方向、ルイズに向けられる。

「ちょ、ちょっとどうしたのよっ!? 顔真っ青じゃないっ?!」

 キュルケの戸惑った声が響く。
 テーブルに手をつき、立ち上がったルイズは全身を震わせ、歯をカタカタと鳴らしている。
 
「じ、じじ、じっ―――」
「ど、どうしたんだい一体?」

 ロングビルがルイズに近づき問うと、ルイズは伏せていた顔を上げ、テーブルを囲む全員をぐるりと一巡りさせた後、パクリと口を開き、

「実家は、ヤバイ」

「「「「「実家は……やばい?」」」」」

 全員の首が傾げ、戸惑うような視線がルイズに向けられる。
 皆の視線が集まると、ルイズは顔をヒクつかせながら口を開いた。



「―――殺される」



「「「「「―――……は?」」」」」

 


 
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