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真・恋姫†無双~現代若人の歩み、佇み~
第三章:蒼天は黄巾を平らげること その6
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丈さは篝火風情に打ち負かされる程度のものにまで萎んでいて、背中は糸車のように丸まっていた。普段の彼の姿とはほとんどかけ離れあたかも薄弱な十代後半の男子のごとき様相となっているのは、この歳に至るまでここまで女性関係に翻弄されるのは彼にとって初体験であるからだ。『前の世界』でもここまで胸が痛くなる事は無かったのである。
 このギャップに錘琳は言葉を失う。嘆息の代わりに悲しみの視線を少しだけ地面に向けると、懊悩を我慢するように仁ノ助の両肩を掴む。

「ほら。あなた騎馬隊長なんでしょう?いつまでもそこに座ってないで、自分の席に座りなさい」
「・・・」

 仁ノ助は言葉を返さず、後ろめたいように顔を背けて蹴り飛ばした木箱を取ってきて、どっかりと座り込んだ。表情の暗さを隠そうと俯いてはいるが、篝火の明るみのせいで不運にもそれが横顔に露わとなっていた。この世の終わりを垣間見て人生の終演を悟ったような暗いものだ。張り詰めた糸のように、ナイフで触れたらすぐに千切れてしまい、彼のなけなしの自尊心は崩壊してしまうだろう。
 
 ーーー心配だ。

 錘琳は彼の顔を覗き込むようにしながら、それまでとは違った優しい声を掛ける。

「他に縋るものがあるでしょう?頼りになる仲間はどうなのよ?馬鹿みたいに意地にならなくても、他にいい案が出て来るかもしれないわよ?思い詰めると頭が鈍っちゃうから。いつも以上にね」
「で、でもさ・・・」
「分かった。あんた気張っているんでしょう?自分で犯した問題から自分だけで解決しようとか考えているとか。
 そういうものじゃないでしょ。そりゃ、他の女性に相談したら思いっきり罵倒されるわよ。『馬鹿なやつだ』って。でも最後はきっと親身になってあなたの助けになるわよ。私だって今そうしているんだから。男連中だってそうじゃないの!特に蒋済なんてうちの中では一番人生経験豊富な男・・・かもよ?
 兎も角。私は呆れてはいるわ。あなたは思った以上に軽々しい行動をする。でも、それではいさよならって言う理由にはならない。たかが他の女と密通したからって、それで見捨てるという訳にはいかない。あなたは私の命の恩人であり、軍に入るまでは戟を教えて、一緒に旅をしてくれた。賊の魔の手からずっと守ってくれた。今度は私が助けになりたいの!」
 
 ーーー嗚呼、この人はなんて・・・。

 声にならぬ感謝の念が仁ノ助の胸中に込み上げる。彼の人生で、ここまで親身になって助けになろうとしてくれる人が現れたのは何時振りだろうか。『前の世界』での大学の同期のゼミ生や中学以来の友人、また『この世界』における人生の序盤で会ってきた碌でもない者達とも違う温かみで、彼の心に重金属のように降り注ぐ泥濘を漱ごうとしてくれている。目頭がぶわりと熱くなり、仁ノ助はそれを誤魔化すために天を向
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