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真・恋姫†無双~現代若人の歩み、佇み~
第三章:蒼天は黄巾を平らげること その6
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いたものであり、彼女なりの及第点をつけてくれたと仁ノ助は考えた。しかしその可憐な胸に一抹の心痛が走っているとは気付かなかった。

「武将の割にはまともな考えじゃない?表面的には華琳様のためを思っての行動。あなたと孫堅との関係について認識していなければ、誰も気づく余地がない」
「まぁ、そうかもしれない。だが問題はある。
 一つ、本当に華琳が話を呑んでくれるかは誰にも分からない。絶対的な実益がないと彼女は梃子でも動かないだろう。時代が為政者の実益を造っていくのかもしれないが、それが何時生まれるかを知る事ができるのは予言者か狂人だ。つまり本格的に事を動かすにはまだまだ時間がいるっていう事だ。
 二つ。状況的にやってもいいものでなければ事はできない。既成事実だけを持ち運んでこれをやろうといっても、『勝手な事をやってくれるな』と仲間から反対されたら終わりだ。外交政策は重臣全員の同意がなければやってはいけないんだから。それに乱が終わった後、漢室から新しい赴任地を与えられた際、距離的にも政治的にも孫堅と接触しにくくなったら駄目だ」
「前途多難ね」
「三つ目だが・・・これは孫堅側から発露するかもしれない問題だ。あー、その、女性なら分かるだろう?」
「なにが分かるって・・・うそ、冗談でしょう?あなた、本当に?」
「・・・倒されて、離されるまで何度も。・・・それが真相の一面でもある」
「・・・自分からがっついたわけでは?」
「さ、最終的にはそう見られても仕方ないな。開き直っちゃったんだから。・・・我ながら流されやすいと思うよ」
「・・・あの時、もっとあんたを蹴っておけばよかった」

 思わず鼻柱を抑える錘琳。彼女がうんざりする輩共は、男女の仲となったら気を付けなければならない最低限のマナーを守らなかったというのだ。薄氷の上を進むというのに、踵が棘のようになった靴を履いてくるようなものだ。これについて錘琳はいかなる抗議も受け入れず、もしされればただただ辟易し失望するだけであろう。 

「大問題ね。年嵩を重ねたとはいえ彼女にもまだ可能性は残っている。どうしましょう・・・」
「・・・孫堅は娘を持つ身だ。皆の前で話を持ち出すことはないだろう。あそこまで拘束してきた女性がその選択をするとは」
「拘束ってなに!?」
「も、もののたとえだから、そうかっかしないで・・・」
「あんた、本当に反省しているでしょうね!?妙に冷静だし、あの女の肩を持つし・・・。産むと思っているの?」
「ち、直感では、な。虎は子供を大事にするというからな」
「・・・それも勘からくる発言?どこまでも勘頼みなのね」
「・・・それしかもう縋るものがなくってさ」

 情けないまでに声が小さくなってしまう。ともすれば火花が散るのに負けるのではないかと思ったくらいに。仁ノ助の今の気
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