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真・恋姫†無双~現代若人の歩み、佇み~
第三章:蒼天は黄巾を平らげること その6
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、貪欲で、そして明確な勝利に対する希望が滲んでいた。今日斃れた仲間の事を想えばなんのその。そんな面持ちにも見受けられた。
 曹操軍の新参である蒋済は狐色に焼かれた豚足をばりばりと齧り、景気づけにきつい酒を煽っていく。大酒のみの彼にとってはたかが数杯程度の酒は水と同義。夜中に用を足せば酔いが消えてしまうため、明日の大事を控えても堂々と飲酒できる自信があった。

「曹仁!お前さん、何人討ち取ったよ?俺は少なくとも十はいったぞ」
「俺は十二だ!あんたみたいな新参者に武勇で負けるなんて、俺の誇りが赦さないな」
「どうやら数え間違いをしていたみたいだ。馬が轢いた分を入れれば俺は十五はいったかもしれん!残念だが、戦勝祝いはお前の奢りだな」
「何をほざくか。馬も入れるなら俺は二十はいっているぞ。卑怯だとは思わないのか、新参者の癖に」
「酒の時くらい静かにして下さい・・・いや、酒乱に言っても無駄か。はぁ、席を外したい」

 ぐびりと杯を煽る曹洪の頬はあわい赤色になっており、いくらか出来上がっていた。聞かれても構わないといった具合にぼろぼろと愚痴が出るのはその証である。
 ふと、天幕内の騒がしさに惹かれて仁ノ助が中に入ってきて、すぐに酒気に顔を顰めた。既に軽く食事を済ませていたのだが、腹に流したものが喉にせり上がってくると錯覚するほどの酒気であったのだ。床に転がる酒樽を見て嘆息してしまうのも無理は無かった。
 喉をぐぅといわせながら蒋済が振り返る。喋っていくたびに口から咀嚼していたものが吹きだしていくが、それを気にするものはいなくなってしまった。

「おう、旦那。酒も飲まないで見回りとは、ご苦労なこった。ところでさっきの戦いだがよ、あんなのでよかったのかよ?随分と潔い引き際だったが」
「いいんだよ。寧ろここで下手を打つと後が面倒だ。勝つのは論外だし、負け過ぎては明日の攻城が滞る。適当なところで刃を離せばいい。言い出しっぺの皇甫嵩が会戦を努めないのが気に入らないが、まぁ、総大将にそれを求めても仕方がない。俺達はただ策の成功を祈って、英気を養うだけさ」
「お前には分からないだろうな。うちの毒舌軍師が評価するほどの策の凄さってやつが」
「そんなにすげぇの?」
「しーらね。うわ、この肉うめぇ」
「おい、味わって食えよ。結構いい育ちだったんだから。・・・それで曹洪、敵がこちらの策に気付いた様子は?」
「全くといっていいほどありませんでした。うわべだけの勝ち戦に浮かれています。ついでに言っておきますが今日の戦、私は首級三十を挙げて参りました。つきましては私を一番槍にしていただけるよう曹操様に話を通していただけるよう・・・」
「なんて奴だ!一人だけ良い所を取る心算か!」
「私が一番頑張ったんだから当然でしょう!誰が殿を努めたと思っているんですか!」
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