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偽典 ドラゴンクエストV 勇者ではないアーベルの冒険
第8章 そして、伝説へ・・・
第壱話 再会
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夜中になっても、宴は続いていた。
いや、むしろ喧噪の度合いは増していた。


勇者は、上座のほうで大臣やら騎士団長やら、そんなお偉いさんに囲まれている。
もちろん、勇者は静かに話をきいているが、自分から話しかけることはない。
俺のほうから、勇者はしゃべれないこと、自分たちとは別の魔王を倒すために旅を続けている途中であることをあらかじめ話しているので問題ない。
勇者が、俺にしきりに視線を向けているが、今は助けにはいけない。
これまでの経過とか話さなければならないことは、いろいろあるが、あまり周辺に聞かれたくはないからだ。



タンタルは、いろいろなテーブルを回って大魔王討伐の状況を、周囲に放言していた。

「俺のこの拳で、アイツの顎を打ち砕いたのさ!」
タンタルが二の腕の盛り上がった筋肉を披露する。
「キャー!」
周囲にあつまった、若い娘たちが騒ぎ出す。

「こうやって、大魔王をぶんなげて」
タンタルは背負い投げのようなものを披露する。
「ステキ!」
黄色い声援が唱和される。

「こうやって、脳髄に蹴りをいれる!」
「おおー!」
タンタルは、延髄切りを披露する。
その、演舞のような華麗な姿に、周囲にいた兵士たちも感嘆の声を上げる。

多少話を盛っているようだが、俺は気にしない。
彼も、結構苦労していたし、パーティの盾役として、なくてはならない存在だったから。
まあ、調子に乗って、変な女に絡まれないように気をつけてくれ。


俺たちは固まって座っているが、タンタルを除いて静かに食べていた。
別に、俺たちが周囲を遠慮して隅っこで食べている訳ではない。
現に、何人かが俺たちに近づこうとしていた。

俺に声をかけようとした女性たちは、ラリホーでもかけられたかのように突然眠くなるようで、そばにいたおばさんに、別室で介抱されている。
僧侶に頼めばザメハという回復呪文で目覚めるだろが、せっかく気持ちよく眠っているのを邪魔するのもどうかと思われ、そのまま寝ているようだ。

また、セレンやテルルに声をかけようとした男たちは、緊張したのかまるでマホトーンでもかけられたかのように、言葉を失い、そのまま立ち去ってゆく。
一部の男性が、セレンの腕をとろうとしたが、まるでマヌーサに幻惑されたかのように、足をすべらせ、付近のテーブルに頭をぶつける。
それを笑った、べつのおじさんと殴り合いを繰り広げているが、大丈夫かな。
殴り合いといっても、セレンの腕をとろうとした男は空を切るばかりでいっこうに相手にダメージを与えることができないようだ。
まあ、最悪の場合、命を落としても教会の神父さまがなんとかしてくれるだろう。

俺たちの周囲に、微妙に人がいない状況が気にならなければ、ゆっくりと食事をとれる意味
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