第六章
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「この結界を見たらな」
「手品とは違う感じだからな」
「だろ?魔術だよ」
今使っているそれこそがだというのだ。
「俺の持っているな」
「それでこの結界の中でか」
「見せてくれるんだな」
「この結界の中は外からは何も見えないんだよ」
悪魔はこのことも話した、とはいっても態度は相変わらず軽く身振り手振りもまさにラッパーそのものだ。
だが、だ。少年達にこう言うのだ。
「これでよしだよ」
「で、誰も見ていないのをいいことにか」
「ここで好き放題やるんだな」
「ああ、けれど契約にないことはしないからな」
このことはここでも断る。
「間違ってもあんた達を取って食いはしないさ」
「あんたそのこと随分気にしてるな」
クラウスは悪魔から人を食う話を出してきたのを聞いてこう返した。
「そんなに頭にきたのかい?」
「怒っちゃいないさ、けれどな」
「それでもか」
「そこんとこわかって欲しいんだよ、悪魔の食事も人間と変わらないんだよ」
こう軽い手振りと共に話す。
「だから俺もステーキを食うんだよ」
「それでか」
「そうだよ、アイスだってな」
こうだ、今度はホットドッグを出して口に入れながら話す。
「食うんだよ」
「そういうことか」
「後で野菜も食うか」
これも忘れていなかった。
「野菜も食わないと健康に悪いからな」
「悪魔も健康とかあるんだな」
「当たり前だろ、糖尿病にもなれば痛風にもなるよ」
人間の病気がそのまま話に出る。
「だから俺も野菜をどっさり食べるのさ」
「じゃあ好きな野菜料理は何だよ」
「そうだな、サラダにあとチャイナ系だな」
中華料理のものだというのだ。
「チャイナの料理は野菜も多いからな」
「じゃあ後でチャイナタウンに行くといいな」
ニューヨークのチャイナタウンは世界的に有名だ、この街の観光スポットの一つにもなっているかなり大きな通りだ。
「そこで食えばいいな」
「行きつけの店あるんだよ、広東料理の」
「つくづく悪魔的じゃないな、あんた」
「だから今からそれを証明してみせるんだよ」
白い歯を出して笑っての言葉だ、かくして。
悪魔は右手を一閃させた、すると。
その身体が変わった、黒いドーベルマンになった。
その姿からだ、人間の言葉でこう言って来たのだ。
「俺が好きな姿の一つだよ」
「ああ、変身したんだな」
「そっちの姿に」
「そうさ、それでな」
さらにだった、変身したうえで。
口から黒い吹雪を吐いてみせた、白いものではなく黒だ。
悪魔は自分が吐いたその黒い吹雪の前に右の前足で一輪の菫を出すと。
その菫が一瞬のうちに石になった、これにはこれまで散々疑っていた少年達も驚いて言う。
「いや、やっとな」
「信じられてきたよ
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