山口先生の前世はきっと神様か仏様。
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」
頭と腰を抑えてゾンビのようにヨロヨロとドアへ向かうと山口先生が心配そうに寄り添ってくれた。
「そんな調子じゃ家につくまでに日が暮れてしまいますよ。 車なら15分くらいで着きますから送りましょうか?」
「え! ……でも、そこまで迷惑を掛けるわけには……」
「そのフラフラの身体で帰るんですか? 駅まで普通に歩いても20分はかかります。 電車に乗ってる時間と駅を降りてから椎名先生の家までの時間も合わせたら1時間を超えますよ?」
「それは……」
「そんな状態じゃあ、私も心配で気が休まりませんから。 私が送りたいんです。 どうしても気になるなら後日何らかの形で埋め合わせしてくれれば良いですよ」
そう言って山口先生はニッと笑った。
ああ、何かもう後光が見えてきた……!
「……っありがとうございます。 それじゃあ、ご厚意に甘えさせてもらいますね」
「はい。 服はまだ乾いていないので私のを貸しますね。 乾いたら学校で返しますから」
山口先生に用意してもらった服に着替えて美鶴に謝罪のメールを送った。
送ってすぐに返信きた。
最悪もう帰っちゃった可能性も考えていたが、まだ待ってくれていたようだ。
美鶴にも山口先生にも悪いことをしてしまった。
今度こそ二度と酒は飲まんぞ……!
あ、山口先生に事情を話してないから適当に話を合わせて欲しいってことも伝えておこう。
急いで支度を終わらせ客室から出ると、リビングのテーブルには二人分の食器が用意されていた。
せっかく用意してくれたのに、と胸が少し痛んだが、山口先生は気にしなくて良いというように笑いかけてくれた。
この埋め合わせ、絶対にしないとな……!
山口先生のマンションから俺のアパートまでは車ならわりとすぐだ。
二日酔いのせいで普段なら酔わない車に酔い、山口先生の手を借りて何とか車から降りる。
冷房の効いた車内から外に出ると、その激しい気温差に吐き気が込み上げ、無理やり押さえ込む。
いつもなら気温差等どうって事は無いのだが、体調最悪の今は茹だる様な暑さが応えた。
「椎名!?」
アパートは二階建てで、俺の家は二階だ。
山口先生に寄り添って貰いフラフラと階段を登ると私服の美鶴が駆け寄ってきた。
美鶴は腰を屈めて目線を合わせ、心配そうに俺の頬へ手を当てた。
「どうしたんだ、顔真っ青じゃないか!」
「二日酔いと車酔いで……時間に遅れて悪――済みませんでした」
『悪かった』と言いそうになり言いなおす。
山口先生視点、俺は美鶴に囲碁の指導を頼む立場だからタメ口は可笑しいだろう。
「いえ、事情があったんですから気にしないでください。 それより、大丈夫なんですか?」
俺の話し方で美鶴も察してくれたらしい。 タメ口から敬語になった。
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