第三章
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いるのよ」
「そうなのですか」
「それもまた人生だから」
別れ、それもまたということは自分でもわかっている。わかっているからこそだ。
「受け入れているわ」
「左様ですか」
「いつも別れているけれど」
彼だけではなかった、これは。
これまで、夫も含めて私は別れてきた。それは確かに辛いけれど。
何処か切ない甘さも感じてきている、一人よがりの感傷かも知れないけれどそれを味わうことが出来るからだった。
私はいいとしていた、そしてだった。
私はワインを一口飲んだ、それから言った。
「甘いわね」
「そのワインは辛口ですが」
「ふふふ、また別よ」
別れのその甘さのことだ。
「別の甘さよ」
「そうですか」
「この甘さに浸れるからよ」
ショウモンギクが好きなのだ、観ながらの言葉だ。
「好きなのよ」
「そうなのですか」
「それでだけれど」
ワインを再び飲んで言った。
「ロマールはいるかしら」
「はい、今入浴中です」
「ではその後でね」
部屋に来る様に告げた。
「そうしてね」
「では」
今の相手を読んだ、その相手も今は共に夜を過ごせる、けれどやがては。
私はその時にまたこの切ない甘さを感じることについて考えながら左手で髪をかきあげた、そのうえでグラスを置きそのうえで立ち上がりバルコニーから部屋に入った、振り返ると三日月の白い光が夜の闇の中に浮かび上がるピンク色の花を照らし続けていた。
水に挿した花 完
2013・5・3
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