第四章
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か。凄いものだな」
「確かにあいつは凄いです」
それは安武も認めるところだった。
「ですが」
「ですが?」
「まだ足りません」
またこう言うのだった。
「あいつはまだ。足りないものがあります」
「厳しいのう」
「完璧になるにはそれだけのものが必要ですから」
だからだというのだった。
「それでです」
「それで?」
「ここでは失敗しますね」
「失敗するか」
「見ていて下さい」
こう監督に対して言うのだった。前を見据えたまま。
「今打たれますから」
「打たれるか」
「今のバッターですが」
今バッターボックスにいるのは大柄な黒人だった。相手チームで二年主砲を務めている男だ。昨年は日本シリーズにも登場している。
「あいつにやられますから」
「その言葉通りいくかな」
「間違いなく」
断言であった。その間にも試合が進み大塚は投げた。彼が今投げられる渾身のストレートだった。だがそれはバッターのバットに当たりそうして。瞬く間にスタンドに放り込まれたのであった。ツーランであった。安武の言った通りになってしまったのだった。
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