お酒だけはダメです天敵です。※
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名を求めているのに――!
恋心は歪み、歪な執着心となって山口の心を焼き焦がした。
山口が、酔って正気を失った椎名にこうしたことをするようになったのはその出来事があってからだ。
何も知らず、こんな自分に信頼を寄せ毎日笑顔で挨拶をしてくれる椎名に、罪悪感を覚えないわけでは無い。 こんなやり方は間違っていると自分を責め、やめようとした時もあった。
しかし、そんな倫理的感情など、椎名のふとした表情、仕草で瞬時にどうでも良い物へと成り下がった。
「――っ椎名……椎名、椎名、椎名っ……」
山口は愛おしい名前を何度も何度も繰り返し呼びながら、ゆっくりと椎名に覆いかぶさる。
「好きだ、好きだ好きだ好きだ好きだ――好き、なんだっ……」
どれほど求めようとも決して得られないのならば――
(身体だけでも……俺無しでは居られなくしてやる――)
「せん、せぇ……?」
「……っ」
不意に虚ろな表情の椎名が僅かに首を傾げ、ぽつりと呟いた。
山口は酒の酔った椎名に度々「せんせい」と呼びかけられる。
その「せんせい」という人物はおそらく自分のことでは無いだろうと考えていた。
酒に酔った椎名の眼差しは焦点があっておらず、明らかに周囲の状況を理解できていない。
今自分に触れているのが山口だということ自体認識していないだろう。
その人物と椎名がどんな関係なのか、椎名にとってどのような存在なのか、山口は知らない。
山口はより強く、――幼い子どもが母親に縋りつくように椎名を抱きしめた。
「――椎名……誰にも、渡さないっ……! こいつは、俺のだ――!」
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