お酒だけはダメです天敵です。※
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るのが椎名先生で良かったですよね〜! 山口先生だったら笑い事になりませんもん」
その後、そんな吉岡の言葉で場が静まり返ったことを山口は知らない。
● ○ ●
キス魔と化した椎名を電車に乗せるわけにはいかず、山口は駅前のタクシーに乗り込み運転手に自身の住所を伝えた。
そうしてタクシーが走り始めると、山口は「ふぅ……」と疲れたようなため息を付いて座席に深く寄りかかり、スッと椎名へ手を伸ばした。
虚ろな目をした椎名を引き寄せ、頬に手を這わせ髪を梳くと、椎名は気持ち良さそうに目を細め、山口に唇を寄せてくる。
山口はそれを避けること無く薄く目を開いたまま受け入れた。
チュッとリップ音を響かせる戯れのような椎名のキスをされるがままに受けていた山口だが、不意に椎名の頭を抱え込み、歯列を割って舌を絡ませ、何度も角度を変えて椎名の口腔を貪り始める。
「ふぅ、んちゅ……ふぁっ……んむぅ……」
椎名の吐息に艶かしい声が混じりだし、それと共に山口の下半身へズクリと熱が集まっていく。
やがて、名残惜しげにゆっくりと唇が離れ、二人の舌をキラキラとした銀の糸が繋ぎ、途切れた。
椎名が物足りなさそうに小首を傾げ快楽に惚けた眼差しで山口をじっと見上げる。
山口は椎名の、この表情が好きだった。
「う……?」
「……っ、もうすぐ着く……良い子で、待てるな……?」
そう言って頭を撫でれば、目を細めて山口の手のひらへ頬を摺り寄せる椎名に、これ以上待てそうに無いのはむしろ山口の方であった。
やがて、タクシーは通常時よりかなり早く山口の自宅へ到着する。
大目の金額を握らされた運転手は、やや青くなった顔を隠そうともせず即座にタクシーを発進させ凄まじい速度で走り去っていった。
山口の実家は少し大きめの個人病院である。 その実家の援助もあって、山口の暮らすマンションは一人暮らしに勿体無い程広く大きい。
椎名をリビングのソファへそっと寝かし、服を脱いだ山口はまず風呂へ向かった。 冷たい水を浴び、高まった熱を冷ます。。
冷たい水を浴びながら、山口はふと現在のに至るまでのことを何気なく振り返った。
思い返せば、酔った椎名を初めて自宅に連れ込んだのは去年の一学期後の飲み会だった。
その時は純粋に椎名を介抱するためだったが、そう考えると日にちは僅かに違うものの、調度今回で一年になるのだ。
(――気づいたら、もう後戻りできない程好きになっていた)
椎名と初めて会った時、その暖かな眼差しに胸が騒いだことを記憶している。 椎名のことを知れば知るほど強まるその感情が何なのか、理解できなかったし、無意識に理解することを避けていた。
そんな椎名へ向けた感情が恋だと気づい
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