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ジンクス
第三章
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笑ってだった。
「わしは月見草や。しんみりとでええわ」
「いえいえ、目立ってますよ監督は」
「そうそう」
「実際に」
「それでもや。やっぱりスギや」
 また彼のことを言うのだった。
「あれはほんまに凄かったからな」
「それでその杉浦さんをですね」
「何時までも」
「忘れんといて欲しいんや、長嶋は確かに凄かった」
 またこのことを話した。
「けれどスギもや」
「同じだけ凄かった」
「それをですね」
「覚えておいてくれ。ええな」
「はい、わかりました」
「それは」
 彼等も笑顔で頷く。そうしてなのだった。
 彼等の中にも杉浦忠の名前とその実績が刻まれるのだった。野村にとってそれは何よりも喜ぶべきことだった。満面の笑顔でその様子を見ているのが何よりの証である。


ジンクス   完


             2010・12・1

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