第八十九話 ナチュラルを嫌悪する意味
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吹き飛ばされた事と攻撃の余波によってデスティニーは無残にも破壊される。
「俺の――――勝ちだァッ!!」
『結局……奇策に走って、自分を信じ切れなかった俺の負けってわけか……』
早い話が自分の行動につけが回ってきただけの事だ。割り切って、自分の実力を最後の最後まで信じられないから奇抜な手に頼って、それが原因で敗北した。だが、ハイネに後悔はない。これまでそうやって生きてきたのだ。それは自分の選んだ選択肢であり、だからこそ結果が満足いくものでなくても受け入れなくてはならない。
『他人に割り切れって言っておいて……自分がそうでないのは、格好悪いだろ?』
そう最後に呟いて、ハイネのデスティニーは爆発した。その様子を見ていた周りの部隊は驚愕し、恐れを抱く。フェイス所属の自軍エースが落とされたのだ。当然の事とも言える。だが、彼らの中に決死の覚悟を持っている者が居ないというわけでもない。
『い、今ならやれるはずだ!隊長の仇を討つぞ!』
元ハイネ隊所属のメンバーが武器を構えてRFゲルググに向ける。マーレのRFゲルググとて無傷で勝ったわけではない。寧ろ損傷自体は酷いものである。武器も手に持っていた二本のビームサーベルはデスティニーとの戦いで既に焼き尽きて使い物にならない。
「チッ……勝負に勝って試合に負けたって所か?」
継戦する余力も、撤退する手段も殆どない。敵は慎重にこちらの攻撃を警戒しながら囲い込む様に武器を構えて移動する。十中八九無駄に終わるだろうが抵抗くらいはして見せる、そうマーレは意気込んで先制攻撃を仕掛けようとした。
『待ちたまえ』
全員が動きを止める。否、止めさせられたというべきだろうか。現れたのは大型の赤いMS。ずんぐりとした大型のその機体は寧ろMAと言った方がいいかもしれない。そして、その機体に誰が乗っているかなど、誰の目にも(この場合、耳というべきか)明らかだった。
『デュ、デュランダル議長……!?』
『いやはや、凄まじい戦いだったよ。君たちの先程の戦闘。見事だった、やはり君たちは戦うための戦士だ。いや、最早英雄というべきかね?』
白々しさを感じさせるわけではないが、マーレにとっては議長の言葉は酷く空虚なものに聞こえる。マーレ自身は知らない事だが、ニュータイプとしての直感が彼をそのように感じさせているのだ。
『君が持つ才と彼の持っていた才、端的に言えば遺伝子の上で君は彼に劣っていた。むろん、機体の差、努力の差、運に恵まれたかそうでないか――――あらゆる条件が存在していただろう。だが、君の場合は違う。遺伝子に左右されない決定的な要素があった。君のその力、もっと有効に使うべきではないかね。
デスティニープランをより強固なものとするために。いや、或いはデスティニープランすら
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