Episode21:Project of color
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し足止めを食らっていた」
「なるほどね。ああ、置いてきちゃったけどほのかと雫は無事?」
「ああ安心しろ。二人に怪我はない」
その報告に、隼人は大きく溜息をついて地面に座り込んだ。正直、腐敗臭の酷いこの部屋に長居はしたくないが、魔法の酷使のせいで隼人は体力、精神力共に限界だった。
(ほんと今夜はこの女に振り回されたな……)
疲労でぼぅっとする隼人の脳裏に浮かぶのは、緑川佐奈と名乗ったこの女が言っていた言葉。
『カラーズ計画』。その言葉の意味を隼人が知るのは、まだ先のことであった。
「…はあ、そろそろここから出ようよ。警察たちが来たら厄介なことになりそうだし」
「それもそうですね。お兄様、ほのか達はどういたしましょう?……お兄様?」
深雪が、自身の兄の異変に気付いたのは偶然だった。なにかを察知したかのように、しきりに視線を動かす。その集中度は相当なものだ。只事ではない、と瞬時に判断した深雪は反射的に自身のCADに手を添えた。
その深雪の様子を疑問に思ったのか、隼人が気怠そうに立ち上がるのと、空間が小刻みに揺れ出したのは同時だった。
「なんだ…!?」
もうその異変は誰にでも気づくことができた。未だかつて経験したことのない緊張感が、隼人達を包む。
『あーあー…全く、好き勝手やってくれたじゃん』
「っ!?」
その声は、唐突に響いた。流れ出す冷や汗を無視して、中心に気を失っているほのかと雫を囲んで隼人達は背中合わせに固まった。
「どーもー、みなさん。オレ様はここで氷漬けになってるお姉さんの同僚ね!よろしくぅ」
「なっ…!?」
氷の剣の横に、まだ幼い少年が立っていた。どこにでもいるような容姿に、平均的な身長、体格。ただ、そこから発せられる殺意と敵意は異常だった。
「九十九隼人だっけぇ?お前は特によろしくなぁ」
「…なるべくなら、君みたいなガキとはよろしくしたくないね。疲れそうだ」
『ガキ』という言葉に若干少年の頬が引き攣って緊張感が霧散しかけたが、彼の纏う雰囲気は邪悪そのものだった。今まで裏世界の組織を相手取ってきた隼人と達也ですら、恐れを為すほどの異様な空気。
「ま、いーや。取り敢えずっ、と」
パチン、と少年が指を鳴らした。すると、今まで佐奈を捕らえていた氷の剣が、粉々に砕け散った。
キラキラと氷の破片が舞う中で、氷からでてきた佐奈を抱きとめ肩に抱きかかえると、少年は隼人を見た。
「じゃあね、完成体」
そう言って、少年の姿は霞のように消えていった。
「なっ…どこに?」
慌てて隼人が世界の心眼を発動するが、もう、少年の存在を感知することはできなかった。
「…あの殺気、化け物だ
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