Episode21:Project of color
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の佐奈には戦慄する暇さえない。隼人の姿が消えた。急ぎ、殺気を感じるほうへと砂鉄を向ける。そしてまた弾け飛ぶ。まだ完全に砂鉄の壁を突破されたわけではない。幸いにも、隼人はヒットアンドアウェイで一撃ずつしか与えてこない。その度に壁を作り直せば、まだ突破される心配はないはずだ。
既に、圧力操作の魔法を扱う隙さえなかった。ただひたすらに防御に徹しなければ殺される。
(完成体が、これほどとは…っ!)
「おオッ!」
気合いの乗った一撃。佐奈の正面での回し蹴りが、遂に砂鉄の壁を蹴散らした。驚愕に目を剥く佐奈の視界から、隼人の姿が再び消えた。
(くっ、どこに)
急いで周囲を見渡すも、隼人の姿はない。舌打ちを漏らした佐奈は、不意に頭上から冷気を感じた。
「上か!」
「御名答ッ!」
佐奈の頭上で、隼人は獰猛な笑みを浮かべていた。
今までで最大の攻撃が来ると、そう直感した佐奈は、今自分にできる最大出力で砂鉄を集め始めた。
その様子を見て、隼人は左の手の平に右の拳の親指側をつけた。
これから発動させる魔法は、まだ一回も試したことのない魔法。成功するかは分からない。だが成功したならば、隼人の切り札級の威力になる魔法だ。
合わさった両手の周囲に黒い光が灯り、同時に冷気が噴き出した。
隼人の、どんな自然現象でも引き起こしてしまう異能、世界への干渉が発動。隼人が、サイオンに直接『凍てつけ』と命令を下すと、彼の両手から始まった空気の凍結は目に追えない程のスピードで加速していった。
「う…オオオッ!」
「はぁァァッ!!」
雄叫びを上げ、隼人が空間を侵食する氷を突き出した。
その氷が形造ったのは、巨大な剣。隼人のあらん限りの魔法力を持ってして顕現した氷剣は、佐奈を守るべく広がった砂鉄の壁に接触した途端に、それすらも飲み込んだ。原初の魔法使いに最も近いとされる、九十九隼人の圧倒的な干渉強度だからこそ為せる、全てを凍てつかせる斬撃。
遅ればせながら地下研究室に入ってきた達也たちが見たのは、氷でできた剣の中に囚われた佐奈の姿だった。
「これは、また…」
隼人が造り出した氷の剣を前に、流石の達也でさえも息を飲んだ。恐らく、こんな芸当は深雪にもできないだろう。同じ出力で氷を造ることができても、これほど精巧に剣を象ることはできない。
「ハァ…あ、達也、深雪さん…遅いじゃないか」
疲労のせいか、隼人の注意は散漫で、すぐ傍に来るまで達也たちの存在に気づくことはできなかった。弱々しく笑みを浮かべながら文句を言ってくる隼人に、達也は苦笑いした。
「すまなかったな、少
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