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第三十七話 真名
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夫って言って、あなたは半年もいなくなったんでしょ! 前科があるのになんで大丈夫って信じられるのよ……」
前科って、自分は犯罪者かなにかか……と思わず言いそうになったが彼女の真剣な目を見てそんな言葉は飲み込んだ。その目が、うっすらと涙ぐんでいたから。
「ごめんなさい……」
「あなた、ラウラちゃんの時にも無茶していたんでしょ。今回倒れたのはそれが原因?」
楯無は、公にはなっていないがラウラ戦の際に何事かがあったことは察している。それは既に終息し、大会中ということもあり詳細は終わってからと考えていたが、まさかそれが原因で自分の試合まで邪魔をされるとは思いもしなかった。
「それは……」
「あ、ちょっと待ってね……」
口を開いた紫苑を制止し、楯無は立ち上がり戸締まりを確認する。同時にミステリアス・レイディを部分展開してナノマシンを散布した。
「……これでよし。とりあえずこの部屋は安全よ」
彼女が散布したナノマシンは、周囲の機械類に干渉しカメラ類や録音器具などの類の妨害をする。
そんなことまで出来るのか、と感心半分呆れ半分で紫苑はここまでの経緯を話し始めた。
そもそも以前の自分がなぜ倒れるに至ったか、いかにしてあの爆発事故で生き残ったのか。
そこには話すことが躊躇われるものも含まれる。ゼロス・シフトによる暴走のこと、月読のこと、天照のこと、何故自分がISを動かすことができるのか、そして……遺伝子操作について。
最初は話すかどうか迷ったが、楯無の姿を見て紫苑は決心を固めた。
もちろん、束のことについて話せない部分もあるのだが自分が話せることは全て伝えることにしたのだ。
その話は楯無にとって驚くべきものであり、彼女のISに対する認識が大きく揺らぐものだった。
コアの暴走、いくら自分のものにはプロテクトがかけられているとはいえ、たった今話に聞いたラウラや紫苑のような暴走が起こりうるということ。そしてまるで意志があるかのような共鳴……。
楯無にとって紫苑の遺伝子操作については、確かに衝撃的な内容ではあるがそれだけだ。特に気にすることではないと彼女は思っている。何故なら、紫苑が男であるという事実のほうが周囲の人間にとってはよっぽど衝撃的な内容だろう。それに比べたらきっと遺伝子操作程度、たいしたことではないのだ。
「……いままで黙っていてごめん」
どうしても自分の出生や束の目的に関わってくる部分もあるため、話すのが憚られた。しかし、これ以上彼女に隠し事を続けるのは気が引ける。
なにしろ、彼女がライバルとして見てくれている自分は遺伝子操作によるもの、つまりは人為的なものであって言ってみれば反則のようなものだ、と彼は認識している。
「コアの暴走に関しては驚いた
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