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IS<インフィニット・ストラトス> ―偽りの空―
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第三十七話 真名
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いろ驚いた。
 楯無が看病していたということもそうだが、何故か簪と言い争っていたことや試合に出て行ったはずなのに五分程度で戻ってきたことだ。つまりその短時間で試合を決した、ということだ。移動時間を考慮すれば文字通り瞬殺だったに違いない。

「ふん、ずいぶん人気があるんだな……お前が魔女などあり得ん、か」
「あ……その、本来なら私ではないと断言したいところなのですが、半年ほど記憶のない時期があるんです。だから……あなたが言っていたように、あなたの目で見極めてください」

 ラウラの呟きの意味を悟った紫苑は、彼女に対して顔を向ける。

「……お前には迷惑をかけた。だが、次は負けん。あんな巫山戯た力に頼らずとも、な!」

 ばつの悪そうな顔をしながら、ラウラはベッドから起き上がる。
 そのまま照れ隠しのように語尾を荒げながら部屋から出て行ってしまった。

「はぁ……一方的に敵視されていた頃に比べれば改善した、かな」

 とはいえ、箒の時といいセシリアの時といい簪の時といい何故最近の自分はこうも敵意をもって見られてしまうのか、ふと考えてしまってため息が漏れる。

「ん……?」

 そんな折、漏れ出た声とその声の主……楯無がモゾモゾと動き出す。
 紫苑がそちらに目をやると、やがて楯無が顔をあげ自然と二人は見つめ合う形となった。
 だが、寝ぼけているのか動く素振りもなくそのまましばらく固まってしまう。

「……!? し、しお……紫音ちゃん!」
「は、はい!?」

 突如、動き出す楯無。
 彼女にしては珍しく、いくら二人きりとはいえそれが確認できないうちに紫苑の名前を出しそうになる。それだけ彼女が動揺していたということか。その鬼気迫る彼女に気後れしたのか、思わず紫苑はそのまま畏まった返事をしてしまう。
 そんな紫苑の状況を知ってか知らずか、楯無はそのまま自分の顔を近づけながらペタペタと彼の顔を手で触り回す。

「大丈夫なの? 熱はない? ちゃんと試合のこと覚えてる?」
「は、はい。大丈夫ですよ」
「大丈夫じゃないでしょ! 私……達がどれだけ心配したと思っているの!?」

 あまりの剣幕にたじろぐ紫苑。
 もともとどんな時でも冷静沈着であり飄々としている彼女が、なぜ今こんなに取り乱しているのか紫苑には分からなかった。試合中に気絶するというのは以前もあったことであるし、いちいちその程度で毎回動揺していては体がもたない、と紫苑は自然と考えてしまった。

「そんな、大げさな……」

 だからこそ、思ったことをそのまま呟いてしまう。

「……大げさ? あなた以前もそうやって倒れたわよね。それを繰り返してどうなったのかしら?」
「そ、それは……でも病気は完治したから大丈夫……ですよ?」
「大丈夫大丈
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